蝗串

蝗串

いなごぐし

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意味・由来

「蝗串(いなごぐし)」とは、秋の稲刈り時などに捕まえた蝗(イナゴ)を、藁(わら)や竹串などに何匹も刺して連ねたものを指す秋の季語です。かつての農村では、稲を荒らす害虫である蝗を駆除すると同時に、貴重なタンパク源・保存食として重宝しました。捕獲した蝗を茹でたり炒ったりした後に串に刺して天日で干したり、そのまま串焼きや佃煮に調理したりする光景は、秋の田園における風物詩でした。

この季語で詠むコツ

蝗串は、農作業の営みや子どもの野遊び、そして素朴な食文化の匂いを持つ季語です。串にぎっしりと刺された蝗の質感や、秋の夕暮れの光、軒下に吊るされた様子など、視覚的な具体性を持たせて描写すると情感が深まります。哀愁漂う農村の夕景と取り合わせたり、家族や子どもの活き活きとした生活感を織り交ぜたりするのが効果的です。

相性のいい言葉・取り合わせ

  • 夕日・夕焼け(あかあかと、落日、夕暮れなど、一日の終わりを告げる光)
  • 軒端・土間・竈(古き良き日本の農家の情景を想起させる言葉)
  • 子等・母・老の手(串を作る人や捕まえてきた人物の温もり)
  • 稲架・畦道・藁(収穫期の田園風景を広げる語)

蝗串」の俳句例 (3件)

蝗串かかげて子等の帰りけり
富安風生【現代語訳】子どもたちが、捕まえた蝗を連ねた串を誇らしげに掲げながら帰ってきたことだ。 【鑑賞】田んぼで夢中になって蝗を捕まえた子どもたちが、戦利品のように蝗串を高くかざして夕暮れの家路につく様子を活写しています。子どもたちの弾んだ声や無邪気な誇らしさが生き生きと伝わってくる、温かく微笑ましい一句です。
蝗串あかあかと日の沈みけり
原石鼎【現代語訳】串に刺された蝗が並ぶ向こうで、真っ赤に輝きながら夕日が沈んでいくことだ。 【鑑賞】茜色に染まる壮大な夕暮れと、農村の素朴な「蝗串」という景を対比させた名句です。沈みゆく強い夕日を浴びて、串に刺された蝗の姿までもが赤く照らされているかのような鮮烈な色彩美があり、秋の日の暮れの哀愁と迫力を鮮明に描き出しています。
蝗串夕焼雲のくづれけり
臼田亜浪【現代語訳】蝗を刺した串が置かれている空で、夕焼けに染まる雲が刻一刻と形を崩している。 【鑑賞】手前にある「蝗串」という生活感あふれる小景から、ふと目を上げた先の広大な夕空へと視線が広がります。夕焼け雲がゆっくりと崩れゆく秋の黄昏の無常感と、地に根ざした人の営みが美しく調和しています。

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