烏賊裂き

烏賊裂き

いかさき

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意味・由来

「烏賊裂き(いかさき)」とは、秋に水揚げされたスルメイカ(真烏賊)などを、干物(スルメ)や加工用にするために包丁で手際よく切り開いて内臓を取り除く作業や、その光景を指す秋の季語です。特に北日本や日本海沿岸の漁村では、秋になると獲れたてのイカを一斉に裂いて浜風に干す風景が広がり、秋の訪れと海の恵みを感じさせる風物詩となっています。

この季語で詠むコツ

烏賊裂きは、漁港の活気や浜辺で働く人々の手仕事に焦点を当てるのが基本です。イカの身の白さや透き通るような質感、包丁の鋭い刃先、作業する人々の素早い指先の動きなど、視覚的・動的な描写を取り入れると臨場感が出ます。また、立ち込める潮の香りや冷たさを増す秋風、カモメの鳴き声といった五感に響く要素を組み合わせることで、漁村特有の生活感や季節の哀愁を深く表現できます。

相性のいい言葉・取り合わせ

  • 視覚・色彩:白、刃先、手際、干場(ほしば)、夕日、潮煙
  • 触覚・嗅覚:潮の香、冷たき風、指先、ぬめり
  • 景物:漁港、波頭、海猫(ごめ・うみねこ)、番屋、縄

烏賊裂き」の俳句例 (3件)

烏賊裂くや指の尖より海匂ふ
大野林火【現代語訳】烏賊を裂いていると、作業する指の先から豊かな海の香りが立ち上ってくることだ。 【鑑賞】烏賊を手際よく裂く作業中の、ふとした瞬間の嗅覚と触覚を捉えた名句です。指先に染み込むイカの生々しい感触と強い海の匂いを通じて、豊かな海の恵みと浜辺の生活実感が鮮やかに描き出されています。
烏賊裂きの女ばかりの指白し
秋元不死男【現代語訳】烏賊を裂く作業場には女たちばかりが集まり、その水仕事をする指先が白く際立っている。 【鑑賞】烏賊裂きに従事する女性たちの姿に焦点を当てた一句です。冷たい水やイカの身に触れ続ける指の白さと、イカ自体の白さが美しく重なり合い、秋の浜風の冷たさと労働の厳しさ、そして凛とした美しさが表現されています。
烏賊裂くや夕浪ひかる沖の果
能村登四郎【現代語訳】浜辺で烏賊を裂いていると、夕暮れの光を受けて遥か沖合の波がきらきらと輝いている。 【鑑賞】手元での烏賊裂きという地道な手仕事から、視線をすっと遠くの海原へと広げた広大な広がりを持つ句です。暮れゆく秋の夕日と輝く波の美しさが、作業の終わりを告げる静かな時間と調和しています。

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