姫雁

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ひめがん

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意味・由来

「姫雁(ひめがん)」とは、ガン類の中で最も体が小さいヒメガンやシジュウカラガンの仲間、あるいは小柄で愛らしい雁の総称です。秋に北方から群れをなして日本へ渡ってくる雁の中でも、その姿や羽音、鳴き声にひときわ小ぢんまりとした繊細さや可憐さがあることから「姫」の名が冠されました。通常の「雁」が持つ雄大さや寂寥感に加え、どこか守ってあげたくなるような健気さ、はかなさを感じさせる晩秋の季語です。

この季語で詠むコツ

「雁」一字で詠むときよりも、対象の「小ささ」「愛らしさ」「軽やかさ」に焦点を当てるのがポイントです。雄大に空を覆う雁行というよりは、空の片隅を身を寄せ合うようにして飛ぶ姿や、かすかに聞こえる甲高い鳴き声、風に煽られながらも懸命に羽ばたく様子を描くと「姫雁」ならではの情趣が際立ちます。日暮れの夕空や寒々とした夜空など、広大で少し寂しい背景と対比させることで、その小さく愛らしい存在感を際立たせることができます。

相性のいい言葉・取り合わせ

・視覚を捉える言葉:「夕茜」「薄雲」「小さき列」「星月夜」「枯野」 ・聴覚を捉える言葉:「かすかなる声」「細き声」「羽音」 ・情景・心情の言葉:「夜寒」「暮れ急ぐ」「旅ごころ」「小夜時雨」

姫雁」の俳句例 (3件)

姫雁の夜をくだる音や小夜時雨
成田蒼虬【現代語訳】夜の冷たい時雨が降る中、姫雁が空から水辺へと降り立っていく羽音が聞こえてくる。 【鑑賞】暗闇の中でしとしとと降る小夜時雨の音に混じって、小さな姫雁たちが着水しようとする微かな気配や羽音を聞き留めた繊細な一句です。姿は見えなくとも「姫雁」という言葉の響きが、夜の冷え込みの中で懸命に羽を休めようとする鳥たちの健気さをありありと浮き彫りにしています。
姫雁の遠く鳴き行く夜寒かな
正岡子規【現代語訳】夜の寒さが身にしみる中、姫雁の小さく甲高い鳴き声が遠ざかっていくことだよ。 【鑑賞】晩秋の深まる寒さ(夜寒)の静寂の中、はるか上空を渡っていく姫雁の細い声に耳を澄ませています。通常の雁の野太い鳴き声とは異なる、かすかで澄んだ鳴き声が遠ざかることで、夜の静けさと寒冷の深まりが際立つ情感あふれる句です。
姫雁の落ち行く方や夕薄
正岡子規【現代語訳】空を飛んでいた姫雁が降り立とうと向かう先には、夕暮れの光に照らされたススキが揺れている。 【鑑賞】夕暮れの茜空から地上へと舞い降りる小さな姫雁の視線の先に、白く波打つ枯れかけた薄(ススキ)の野原を配した絵画的な名作です。「姫雁」の可憐な姿と、夕風にそよぐ繊細な薄の穂が美しく調和し、秋の終わりの静謐な情感を漂わせています。

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