初月

初月

はつづき

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意味・由来

「初月(はつづき)」とは、陰暦七月(初秋)の三日ごろ、新月を過ぎて秋の夜空に初めてほっそりと現れる三日月のことです。「みかづき」とも呼ばれますが、俳句において「初月」という場合は特に秋のはじめに見る繊細な月を指し、長かった夏が去り、秋の気配が澄んだ大気に立ち現れたことを象徴する優美な季語です。夕暮れの淡い西の空に、研ぎ澄まされた刃のように白く細く光る姿には、どこか幽玄で清冽な美しさが漂います。

この季語で詠むコツ

初月は非常に細く、夕空が暗くなると間もなく西の地平線へと沈んでしまいます。その「はかなさ」「細さ」「沈む早さ」を意識して捉えるのがポイントです。満月のような圧倒的な存在感や明るさではなく、夕暮れから宵闇へと移ろう刹那のグラデーションの中に、ふと見つけた驚きや静けさを詠み込みましょう。視覚的な鋭さや、初秋ならではの涼風の感触と響き合わせると情感が深まります。

相性のいい言葉・取り合わせ

初月のはかなげな佇まいを引き立てるには、初秋の静寂や夕暮れの情景を伝える言葉とよく合います。 ・空や光の色合い:「夕茜」「暮色」「茜雲」「浅葱色」「薄暮」 ・初秋の植物・自然:「萩」「桔梗」「芒(すすき)」「秋風」「露」 ・時間や感情の動き:「ふと」「かすかな」「沈みゆく」「ほのか」「見失ふ」

初月」の俳句例 (3件)

初月や折れば散るべき萩の枝
松尾芭蕉【現代語訳】空には繊細な初月がかかり、庭先には今にも手折れば花が散ってしまいそうな萩の枝がたわわに咲いている。 【鑑賞】初秋の宵、空に浮かぶ細い初月と、かすかな刺激で散ってしまいそうな萩の花の繊細さを対置させ、秋の訪れの静けさと移ろいやすさを美しく捉えた一句です。
初月やむらさき深き山のかた
与謝蕪村【現代語訳】夕暮れの茜が消え、深い紫色の影をたたえる山並みの方角に、ほっそりとした初月が白く光っている。 【鑑賞】絵画的な色彩感覚に長けた蕪村ならではの句です。薄暮から夜へと向かう「むらさき深き山」の重厚な背景に、鋭く繊細な初月の白さが鮮やかなコントラストを描き出しています。
初月や一寸見せて雲に入る
小林一茶【現代語訳】秋の初月がほんのわずかの間だけその細い姿をのぞかせ、すぐに雲の中へと隠れてしまった。 【鑑賞】初月の沈みやすさ、見失いやすさを「一寸見せて」という日常的で親しみのある言葉で表現しています。秋の空の気まぐれな雲の動きと、初月に出会えた束の間の喜び、惜別の情が素直に伝わってきます。

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