白帝

白帝

はくてい

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意味・由来

「白帝(はくてい)」とは、古代中国の五行思想において「秋」を司るとされる神、または秋そのものを擬人化した季語です。五行説では万物を木・火・土・金・水の五元素に分け、それぞれに季節・方角・色を配しました。秋は「金」であり「西」を指し、色は「白」が当てられます。そのため、春の「青帝」、夏の「赤帝(炎帝)」、冬の「玄帝」と並び、秋を司る厳かな存在を「白帝」と呼びます。単に涼しくなった時候を言うだけでなく、秋特有の澄み切った空気や、どこか凛とした威厳、神聖な静寂を象徴する格調高い季語です。

この季語で詠むコツ

白帝は神話的・観念的な色合いが強い季語であるため、頭の中の理屈だけで詠むと具体性を欠いてしまいがちです。成功させるコツは、日常の中で肌に触れた「冷涼な空気感」や「鋭く澄んだ秋の光」、あるいは「高く澄み渡る大空の広がり」など、具体的で研ぎ澄まされた実感をしっかりと取り合わせることです。秋の訪れに対する畏敬の念や、身の引き締まるような感覚を込めて詠むと、壮大で凛とした風格のある句に仕上がります。

相性のいい言葉・取り合わせ

・空間や自然:虚空、天空、嶺、磐石、雲、稜線、光、風 ・質感や状態:澄む、冴ゆる、透く、厳か、高し、静まり返る ・神聖さや静寂を帯びた動作:見据ふ、凝らす、去来す、渡る、降る

白帝」の俳句例 (3件)

白帝の御衣の裾踏む心地して
角川源義【現代語訳】秋の神である白帝の尊い衣の裾を、知らぬ間に踏んでしまったかのような、身の引き締まる心地がする。 【鑑賞】ふと肌に触れた秋の冷気や、張り詰めた季節の気配に対する畏怖の念を詠み留めています。目に見えない大気の推移を「神の衣の裾」と捉え、それを踏んでしまったかのような緊張感を通して、秋の深まりを身体感覚として見事に表現しています。
白帝の眼を凝らしたる虚空かな
有馬朗人【現代語訳】秋の神・白帝がじっと目を凝らして見つめているかのように、一点の曇りもなく張り詰めた大空であることよ。 【鑑賞】秋晴れのどこまでも高くて透明な虚空(大空)を、白帝の鋭い眼差しに見立てた一句です。物理学者でもあった作者ならではの宇宙的な静謐さと、自然の厳粛な力に対する深い敬意が、研ぎ澄まされた言葉の中に凝縮されています。
白帝やあるときは大童女像
中村草田男【現代語訳】秋を司る神・白帝の気配は、ある時は巨大で堂々とした少女の像のようにも感じられる。 【鑑賞】白帝という威厳に満ちた秋の神を、厳格な老翁などではなく無邪気で力強い「大童女(おおどうじょ)」の姿として捉えた独創的な名句です。秋の訪れがもたらす圧倒的なスケール感と清冽な生命力が、鮮烈なイメージで立ち現れています。

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