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「敗醬(はいしょう)」とは、秋の七草の一つとして親しまれている「女郎花(おみなえし)」の漢名(漢語表記)であり、漢方薬としての生薬名でもあります。秋に鮮やかな黄色い小花を傘状に咲かせる優美な植物ですが、その根や全草を掘り起こして乾燥させると、腐敗した豆味噌(醬)のような独特の強い臭気を放つことから、古代中国で「敗れたる(腐った)醬」という意味で「敗醬」と名付けられました。 俳句においては、和名の「女郎花」が持つ女性的で嫋やか、あるいは華やかな風情に対して、「敗醬」の文字を用いることで、漢詩的で硬質な響きや、どこか枯淡で野趣あふれる無常感を醸し出すことができます。
「女郎花」として詠む場合は女性らしさやたおやかさに焦点が当たりがちですが、「敗醬」という季語を選ぶ際は、あえて硬派で静寂な情景や、鄙びた風景を描くのがコツです。古寺の片隅や荒れた野辺、夕暮れの寂寥感など、少し乾いた質感や哀愁を帯びた場面とよく調和します。また、漢名特有の音読みの重厚感を活かし、調べを力強く引き締めたいときにも効果的です。
・古寺、垣根、背戸(裏口)、野道、石蕗(つわぶき) ・日暮、夕影、黄落、秋風、露、野分 ・枯淡、寂けし、揺らぐ、佇む、影
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