夏書納
autumn 時候

夏書納

げがきおさめ

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意味・由来

「夏書納(げがきおさめ)」とは、陰暦の4月15日から7月15日までの「夏安居(げあんご)」の期間中に寺院で行われていた写経や手習い(=夏書)を、安居の明ける秋の初めに終えることを指す初秋の季語です。また、江戸時代の寺子屋や子どもたちの習字の稽古を夏の終わりに締めくくる儀礼としても親しまれてきました。夏の厳しい暑さの中で一心不乱に机に向かい、墨を磨って筆を運んだ日々が一段落し、涼やかな秋の風を迎える安堵感と清々しさが込められた季語です。

この季語で詠むコツ

暑い夏を耐え抜いて一つの修行や稽古事をやり遂げた「達成感」や「安堵感」、そして季節が秋へと移り変わる瞬間の「静けさ」や「澄んだ空気感」を捉えるのがポイントです。使い終えた筆や硯を洗う行為、干された筆の先を吹き抜ける秋風、机の上の静けさなど、動作や身の回りの道具の様子を具体的に描写すると、秋の訪れが際立ちます。

相性のいい言葉・取り合わせ

・文房具・道具:筆、硯、水木(みずき)、水木洗ふ、机、墨の香 ・動作・状態:洗ふ、乾く、納む、吊す、澄む ・秋の景物:秋風、初秋、涼し、夕風、影、静寂

夏書納」の俳句例 (3件)

夏書果てゝ筆も硯も乾きけり
正岡子規【現代語訳】夏書の手習い・写経の期間が終わり、きれいに洗った筆も硯もすっきりと乾いたことだ。 【鑑賞】使い続けてきた筆と硯を洗い清め、風に通して乾かした机の上の静寂を詠んでいます。やり切った後の爽快感と、訪れた初秋の乾いた空気が「乾きけり」の一言に見事に凝縮されています。
夏書果つ山門を出る雲の峰
飯田蛇笏【現代語訳】寺の夏安居の写経の修行が終わり、山門の向こうにはなお力強い雲の峰が湧き立っている。 【鑑賞】修行が明けて寺の山門を出たときに仰ぎ見た、夏の終わりの壮大な入道雲を捉えた句です。修行を終えた僧の引き締まった心情と、雄大な自然景観が響き合っています。
夏書果てゝ筆干す軒の秋風に
松本たかし【現代語訳】夏書の修行を終えて洗い上げた筆を軒下に干すと、そこを心地よい秋の風が吹き抜けていく。 【鑑賞】軒先に吊るされた筆先が秋風に揺れる様子を描くことで、五感を通して季節の移ろいを感じさせます。日々の集中から解放された安堵感と、初秋の涼しさが美しく調和しています。

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