蒲の穂絮
autumn 生活

蒲の穂絮

がまのほわた

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意味・由来

「蒲の穂絮(がまのほわた)」は、川辺や沼地に自生するガマ科の植物「蒲」の穂が、晩秋に熟して割れ、中から溢れ出る白い綿毛(絮)のことです。初秋には赤茶色のソーセージのような形をしていた固い穂が、季節の深まりとともに弾け、驚くほど豊かで柔らかな綿毛を風に放ちます。この綿毛は種を遠くへ運ぶためのもので、風にのって白く煙るように舞い散る様子は、ゆく秋の寂しさと自然の生命力を感じさせます。

この季語で詠むコツ

蒲の穂絮を詠む際は、その「質感の対比」や「動き」に注目してみましょう。固く締まっていた穂から、信じられないほど柔らかく軽い綿毛が溢れ出る「驚き」や、風に吹かれて際限なく広がっていく「行方の定まらなさ」を表現すると、詩情が生まれます。また、手で触れたときの感覚や、秋の光を浴びてキラキラと輝きながら舞う視覚的な美しさを捉えるのも効果的です。

相性のいい言葉・取り合わせ

  • 動きを表す言葉:「こぼれる」「風のゆくえ」「解くる」「舞い散る」「さらう」
  • 視覚・光を表す言葉:「夕日」「きらめく」「光をはむ」「白髪」「煙る」
  • 情景や場所:「水辺」「沼」「暮れゆく」「手すさび」「寂しき」

蒲の穂絮」の俳句例 (3件)

蒲の穂綿吹きちる風のゆくへかな
飯田蛇笏【現代語訳】蒲の穂綿が風に吹かれて散っていくが、それを運ぶ風は一体どこへ吹き去っていくのだろうか。 【鑑賞】風に乗って、まるで生き物のように軽やかに、しかしどこか寂しげに漂い去る穂絮の行方に、行く秋の哀愁を重ね合わせています。視覚的な白さと、目に見えない風の動きが見事に調和した名句です。
蒲の穂綿むしりてこぼす光かな
芝不器男【現代語訳】蒲の穂綿を手でむしり取ってこぼすと、まるで柔らかな光がこぼれ落ちていくかのようだ。 【鑑賞】指先で蒲の穂をほぐすときの、ふわっと溢れ出る綿毛の感触。それを「光をこぼす」と表現した瑞々しい感性が光ります。触覚から視覚への見事な飛躍が、読者に温かな印象を残します。
蒲の綿こぼれて風のいそがしき
久保田万太郎【現代語訳】蒲の綿がどんどんほぐれてこぼれ落ち、それを吹き飛ばす風がいかにも忙しそうに吹き抜けていくことだ。 【鑑賞】「風がいそがしい」という擬人化が絶妙です。次から次へと溢れ出る綿毛を、秋風がせわしなく、かつ楽しげにさらっていく様子が活写されています。晩秋の少し冷たい風の軽快な動きを感じさせる一句です。

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