冬隣る

冬隣る

ふゆとなる

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意味・由来

「冬隣(ふゆどなり)」あるいは動詞化した「冬隣る(ふゆとなる)」は、晩秋(10月下旬から11月上旬頃)の季語です。まるで冬が隣の部屋までやって来て息を潜めているかのように、身近に冬の気配をひしひしと感じる情景を表します。暦の上ではまだ秋でありながら、朝夕の冷気や木々の落葉、日暮れの早さなどにふと触れ、「もうそこまで冬が来ている」と気づいたときの、しみじみとした情感が込められた美しい言葉です。

この季語で詠むコツ

「寒い」と直接言葉にするのではなく、日常のささやかな変化や五感(触覚・視覚など)を通して冬の接近を表現するのがコツです。例えば、水仕事で感じる冷たさや、湯気の温もりが心地よく感じられる瞬間、障子に差す夕暮れの日差しの弱まりなど、具体的な生活のひとコマと取り合わせることで、実感のこもった味わい深い句になります。

相性のいい言葉・取り合わせ

身の回りの生活道具や、温もりが恋しくなる事物と非常に相性が良い季語です。

  • 生活道具・住まい:白湯、障子、薬、湯呑、灯影(ほかげ)、上着、手袋
  • 自然・光景:夕暮、日ざし、海、庭先、暮れ色の空、乾いた風
  • 動作・五感:触れる、飲む、閉ざす、温む、匂ひ、音

冬隣る」の俳句例 (3件)

手をつけて海あたたかし冬隣
杉田久女【現代語訳】秋の終わりに海の水に手をつけてみると、外の冷たい空気に比べて思いのほか温かく感じられ、すぐそこまで冬が来ていることを実感する。【鑑賞】大気はすでに冷え込んでいるものの、海水の温度はまだ秋の名残を留めて温かい。その温度差への気づきから、間近に迫る冬の気配を皮膚感覚で鮮やかに捉えた名句です。
薬のむ湯の白湯にして冬隣
久保田万太郎【現代語訳】薬を飲むための水がいつの間にか温かい白湯になっており、冬がもうすぐそこまで来ていることを感じる。【鑑賞】日常の何気ない「白湯を飲む」という行為を通して、季節の移ろいを敏感に察知しています。生活感の中に下町人情味や哀愁を漂わせる万太郎らしい繊細な一句です。
灯影さす障子ひとへや冬隣
星野立子【現代語訳】部屋の明かりが薄い障子一枚に透けて映えており、冬がすぐ隣まで迫っていることを思わせる。【鑑賞】外の冷気と部屋の灯りの温もりを隔てる「障子ひとへ」に焦点を当てることで、冬の訪れを視覚的にも肌感覚的にも見事に表現しています。

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