筆柿

筆柿

ふでがき

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意味・由来

筆柿(ふでがき)とは、秋に熟す柿の品種の一つで、果実の形が毛筆の筆先に似てやや細長く、先端が尖っていることからその名がつきました。愛知県(旧三河国)を中心に古くから栽培されており、別名「珍宝柿(ちんぽうがき)」とも呼ばれます。一般的な平たく丸い富有柿などに比べて小ぶりで、果肉の中に黒い斑点(ゴマ)が密に入ると濃厚な甘みを持つ不完全甘柿です。その独特で愛嬌のある尖った姿と、深まる秋の気配を結びつけて詠まれる晩秋の季語です。

この季語で詠むコツ

筆柿の最大の特徴は「筆の穂先のような尖り」と、噛んだときの「黒いゴマの甘み」、そして「小ぶりで愛らしい佇まい」にあります。単に秋の味覚として詠むだけでなく、そのユニークな形状に着目して机上や書斎の風景と合わせたり、先端の尖り具合や色づきの変化を繊細に捉えると効果的です。また、手の中にすっぽり収まるサイズ感や、口に含んだ瞬間の食感・色彩の対比を描き出すことで、五感に訴えかける瑞々しい句が生まれます。

相性のいい言葉・取り合わせ

・形状・色彩を表す言葉:尖り(とがり)、筆先、朱、濃紅、黒き斑(ふ) ・場所・生活感のある言葉:机、文机、硯、書斎、籠、縁先 ・季節感や気候を表す言葉:秋晴、日和、秋深し、秋の日差し、小春日

筆柿」の俳句例 (3件)

筆柿を噛めば舌先黒かりき
能村登四郎【現代語訳】筆柿を一口噛みしめると、果肉の黒いゴマ(斑点)によって舌の先が黒くなっていたことだ。 【鑑賞】筆柿がしっかり甘く熟している証拠である果肉の黒い斑点を、噛んだあとの「舌先黒かりき」という視覚的・触覚的な驚きとともに捉えた名句です。筆柿の持つ特徴を五感を通じて鮮烈に写し取っています。
筆柿や我も我もの顔にして
小林一茶【現代語訳】小ぶりな筆柿が、まるで「自分こそが一人前だ」とばかりに誇らしげな顔つきで実っているよ。 【鑑賞】小さく先が尖った筆柿の独特な姿を擬人化し、ちょこんと澄まして主張しているかのように見立てた一茶らしい温かなユーモアが光る一句です。不揃いで不完全なものへの慈しみの眼差しが感じられます。
筆柿の筆買ひに行く日和かな
辻桃子【現代語訳】筆柿が色づく心地よい秋晴れのなか、本物の書道の筆を買いに出かけることだ。 【鑑賞】「筆柿」という季語の言葉の響きから本物の「筆」を連想し、からりと晴れた秋の外出へと軽やかに展開させた現代味のある句です。「筆柿」と「筆」の言葉遊びのような取り合わせが楽しく、爽やかな秋の日の充実感が伝わってきます。

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