燕脂花

燕脂花

えんしか

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意味・由来

「燕脂花(えんしか)」は、オシロイバナ科の一年草であるオシロイバナ(白粉花)の別称、あるいはその深く鮮やかな紅紫色の花を指す秋の季語です。「燕脂(えんじ)」とは古代中国の燕の国から伝わった紅色の化粧料・染料のことで、オシロイバナの花がその艶やかな赤を連想させることから名付けられました。夕暮れどきに開き、翌朝にはしぼむ性質を持ち、古くから秋の夕景や路地裏の風情を彩る花として親しまれています。

この季語で詠むコツ

「白粉花」と詠むと黒い種や白い粉の親しみやすさが立ちますが、「燕脂花」と漢字で表記すると、どこか艶やかで雅びな美しさが際立ちます。夕暮れの光の中で際立つ深紅の艶や、しっとりとした陰影を意識して詠むのがポイントです。夕方の薄暗がり、雨上がりのしっとりとした風情、あるいは静かな路地裏などの情景と合わせると、季語の持つ妖艶さや哀愁が引き立ちます。

相性のいい言葉・取り合わせ

  • 時間・光:夕暮れ、夕影、薄暮、たそがれ、残照
  • 情景・場所:土塀、板塀、格子窓、古庭、路地、雨上がり
  • 色・質感:濃紅、艶、しじま、ほのか、濡れ色

燕脂花」の俳句例 (3件)

燕脂花夕影あせて咲きにけり
詠み人知らず【現代語訳】夕日の名残の光が次第に薄れゆく中で、燕脂花がいっそう際立って咲き誇っている。 【鑑賞】夕暮れに開花する燕脂花の特徴を捉えた句です。周囲の光が失われていくにつれて、花自体の深い紅色が夕闇の中にほの暗く浮かび上がる幻想的な美しさを描写しています。
燕脂花ほのかに暮るる小道かな
日野草城【現代語訳】燕脂花が咲く小道が、ほんのりとした夕暮れの気配に包まれて暮れていくことだ。 【鑑賞】夕暮れの静かな小道に咲く燕脂花のしっとりとした風情を詠んでいます。「ほのかに暮るる」という表現が、秋の日の緩やかな移ろいと燕脂花の艶やかな赤を柔らかく引き立てています。
燕脂花や塀のくづれの二三尺
正岡子規【現代語訳】燕脂花が、崩れた土塀のほんの二三尺ほどの隙間を埋めるように鮮やかに咲いている。 【鑑賞】荒れかけた土塀の崩れた隙間に、ひっそりとしかし鮮烈に咲く燕脂花の赤が鮮やかなコントラストを描いています。わびしい風景の中に秋の植物の生命力と色彩の美しさを見出した写生句です。

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