仏甲草

仏甲草

ぶっこうそう

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意味・由来

仏甲草(ぶっこうそう)は、ベンケイソウ科マンネングサ属の多肉植物の総称、またはその一種を指す秋の季語です。ぷっくりとした多肉質の葉が重なり合う様子を、仏像の足の甲や爪、あるいは武士の甲冑(かっちゅう)の札(さね)に見立てて名付けられたといわれています。初秋から秋にかけて、茎の先に星形の小さな黄色い花を群がり咲かせます。石垣の隙間や道端、庭の片隅などの乾燥したやせ地でもしっかりと根を張る非常に生命力の強い植物で、「万年草(まんねんぐさ)」の別名の通り、常にみずみずしい緑を保ちながら慎ましく季節を知らせてくれます。

この季語で詠むコツ

仏甲草を詠む際は、その「小さく黄色い星のような花」と「肉厚で青々とした葉の質感」、そして「石垣や瓦、岩場といった乾いた環境に生きる生命力」に着目するのがポイントです。派手さはありませんが、素朴でどこか温かみのある佇まいを持っています。秋の乾いた光線や傾く夕日、あるいは周囲の寂びた風景と対比させることで、小さな花が放つ可憐な輝きや健気な存在感を鮮やかに描き出すことができます。

相性のいい言葉・取り合わせ

  • 質感・環境を表す言葉:石垣、古瓦、土塀、庭の隅、岩肌
  • 光や風を表す言葉:秋日、夕日、西日、木漏れ日、乾く、照る
  • 秋の気配を表す言葉:ちちろ(蟋蟀)、虫の声、静けさ、露

仏甲草」の俳句例 (3件)

仏甲草ちゝろの声にとりまかれ
阿波野青畝【現代語訳】仏甲草の周りから、秋の夜のコオロギの声が草を取り囲むように響き渡っている。【鑑賞】「ちちろ」はコオロギの古名。ひっそりと庭の片隅に咲く仏甲草と、その周囲で鳴きしきる虫の声の取り合わせが、秋の深まりと静寂を立体的に浮かび上がらせています。
仏甲草咲きぬあさつき芽を吹けば
水原秋桜子【現代語訳】浅葱(あさつき)が新しい芽を吹くころ、仏甲草も可憐な黄色い花を咲かせた。【鑑賞】身近な野菜である浅葱の柔らかな新芽と、仏甲草の開花という小さな自然の変化を捉えた句です。家庭的な温もりとともに、秋の訪れの清々しさを素直に喜ぶ心情が伝わってきます。
仏甲草日を吸ひつくし枯れにけり
相生垣瓜人【現代語訳】仏甲草は強い秋の光をすべて吸い尽くしてしまったかのように、すっかり枯れてしまった。【鑑賞】多肉植物である仏甲草が、陽の光を極限まで浴びて役目を終えたかのような枯れ姿を詠んでいます。単なる衰退ではなく、光を吸い尽くしたという力強い表現に、独自の深い観察眼が光ります。

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