雨びえ

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意味・由来\n「雨びえ(雨冷え)」は、秋にしとしとと降る雨によって、急激に気温が下がり肌寒さを感じることを表す秋の季語です。「一雨一度(ひとあめいちど)」と言われるように、秋の雨は降るたびに季節を深め、冬の足音を近づけます。単なる寒さではなく、湿り気を帯びた冷気がしんしんと肌や衣服に染み込んでくるような、秋特有の陰影と寂寥感を伴った体感を表現する言葉です。\n\n### この季語で詠むコツ\n雨冷えがもたらす「肌ざわり」や「室内の静けさ」に注目して詠むのが効果的です。急な寒さに肩をすぼめる動作、一枚羽織を重ねる暮らしの仕草、あるいは冷たい雨に打たれて鮮やかさを増す庭の草木などを具体的に切り取りましょう。外の冷気と室内の温もりのコントラストを描くことで、実感がより深く伝わります。\n\n### 相性のいい言葉・取り合わせ\n- 生活の道具・動作:羽織、膝掛け、古書、指先、灯(ひ)、温き茶\n- 植物・自然:石蕗(つわ)の花、山茶花、落葉、暮色、庭石\n- 感覚・情景:しづけさ、染み入る、薄暗し、かじかむ

雨びえ」の俳句例 (3件)

雨冷や母の衣縫ふ膝の上
細見綾子【現代語訳】秋の冷たい雨が降る中、膝の上に布を広げて母の着物を縫っている。\n【鑑賞】雨冷えのする薄暗い部屋で、母の着物を一針一針縫う作者の姿が描かれています。膝の上に広がる布の手触りと、秋雨の湿った冷気が対比され、母への情愛と静かな家庭の温もりがしっとりと伝わってくる名句です。
雨冷のひかり集めて石蕗の花
大野林火【現代語訳】秋雨の冷気の中、石蕗の花がわずかな光を集めるように鮮やかに咲いている。\n【鑑賞】冷たい秋の雨に打たれながら、庭の片隅で黄色く艶やかに咲く石蕗(つわ)の花を捉えています。薄暗く肌寒い「雨冷」の情景の中で、花が自ら発光しているかのような鮮烈な美しさが際立ちます。
雨冷の指の先より書をひらく
能村登四郎【現代語訳】雨の冷気が染みる中、少し冷たくなった指先から静かに本を開く。\n【鑑賞】秋雨によって冷えた指先で本のページをめくるという、繊細な身体感覚を描いた一句です。静まり返った部屋の空気感と、読書に没頭していく精神の集中が「指の先」という微細な描写によって鮮やかに表現されています。

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