秋簾

秋簾

あきすだれ・あきす

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意味・由来

「秋簾(あきすだれ・あきす)」とは、夏の間に日差しを遮り涼を呼ぶために掛けていた簾(すだれ)が、秋になってもそのまま掛け残されているものを指す季語です。夏には涼やかで頼もしかった簾も、秋風が立ち日差しが弱まるにつれて、どこか寂しげでうつろな風情を漂わせるようになります。季節の移ろいに対する名残惜しさや、夏の終わりの物悲しさを象徴する生活・人事寄りの秋の季語です。

この季語で詠むコツ

秋簾を詠む際は、夏の記憶との対比や、季節が進むことで変化した光や風の質感を捉えることがポイントです。真夏とは違って部屋の奥まで差し込むようになった斜めの秋の日差し、簾の隙間を吹き抜ける肌寒い風の音、少し日焼けして色褪せた簾そのものの質感などに着目すると、秋ならではの哀愁や情緒を鮮やかに表現できます。

相性のいい言葉・取り合わせ

・光・影に関する言葉(斜陽、夕日、影、木漏れ日、透く) ・風・気温に関する言葉(秋風、すきま風、冷やか、肌寒) ・動作や状態を表す言葉(掛け残す、巻き上ぐ、外す、古りゆく、静けさ)

秋簾」の俳句例 (3件)

秋簾まづ一間にかけのこし
高浜虚子【現代語訳】秋になったので簾を片付け始めたが、まずはひと部屋にだけ掛け残しておいた。 【鑑賞】季節の変わり目における暮らしのひとこまを、飾らない言葉で写生した名句です。すべてを一度に片付けるのではなく、ひと部屋だけ残しておくという日常的な判断の中に、過ぎ去る夏への名残惜しさと秋の訪れを受け入れる生活の実感が巧みに捉えられています。
秋簾日影の這へる畳かな
夏目漱石【現代語訳】秋簾を通して、低くなった秋の日差しが畳の上を這うように長く伸びていることだ。 【鑑賞】真夏の強い直射日光とは異なり、高度を下げた秋の日差しが簾越しに部屋の奥深くまで差し込んでいる情景です。「這へる」という表現によって、静まり返った室内の静けさと、季節の移ろいに伴う光の弱まりや寂寥感が視覚的に鮮やかに浮かび上がります。
秋簾風のゆくへの見えにけり
久保田万太郎【現代語訳】秋簾がふと揺れるのを見て、通り抜けていく秋風の行方が目に見えるように感じられた。 【鑑賞】目に見えない風が、薄く古びた秋簾をそっと揺らして去っていく様子を繊細に捉えています。夏を過ぎて軽くなった簾の動きから風の冷たさやもの寂しさを感じ取っており、下町の風情や哀愁を得意とした万太郎らしい詩情あふれる一句です。

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