秋の愁

秋の愁

あきのうれい

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意味・由来

「秋の愁(あきのうれい)」とは、秋の深まりとともに自然と心に湧き上がってくる、もの悲しさや寂しさ、切ない憂愁の感情を指す季語です。草木が枯れ始め、日暮れが早くなり、冷ややかな風が吹き抜ける秋の季節の推移が、人の心に人生のはかなさや孤独、遠い過去への哀愁を抱かせます。中国の古詩に由来する「秋思(しゅうし)」とも通底し、古来より多くの文人や俳人に詠み継がれてきた情緒深い季語です。

この季語で詠むコツ

「秋の愁」自体が非常に強い主観的感情を表す言葉であるため、単に「寂しい」「悲しい」と感情をそのまま書き連ねてしまうと、句が説明的になり平板になりがちです。コツは、愁いそのものを説明するのではなく、「愁いを感じている自分の些細な所作」や「愁いを映し出す具体的な静かな情景(傾く夕日、使い古した道具、ひとり飲むお茶など)」を具体的に描き出すことです。具象を一つ置くことで、言葉の持つ憂愁の深さが立体的に立ち上がります。

相性のいい言葉・取り合わせ

・日常の静かな所作(茶を啜る、机に向かう、灯を消す、影を見る) ・静寂や微細な動き(風の音、時計の針、黄昏、傾く陽) ・乾いた質感や冷涼な色合い(古書、白壁、淡き光、薄暮)

秋の愁」の俳句例 (3件)

秋の愁身に添ふ影の痩せにけり
高浜虚子【現代語訳】秋の愁いが深まる中、我が身に寄り添う地面の影までもが、ほっそりと痩せ衰えてしまったように感じられることだ。 【鑑賞】自身の肉体的な衰えや内面の孤独感を、秋の斜光が生み出す「影の痩せ」という視覚的イメージに託して見事に定着させています。老いや生への憂愁が静かに染み渡る名句です。
秋の愁ひかりの如きもの過ぎつ
大野林火【現代語訳】秋の愁いに包まれていると、ふと光のような何かが目の前を一瞬で通り過ぎていった。 【鑑賞】深まる秋の陰影ともの思いの中で、微かな閃光のような記憶や時の推移を直感的に捉えた句です。「ひかりの如きもの」という抽象と具象のあわいにある把握が、愁いの底にある鋭い美しさを際立たせています。
秋の愁ひそかに眉に兆しけり
飯田蛇笏【現代語訳】秋の訪れとともに湧く愁いが、人知れず私の眉のあたりにわずかな表情として現れてきた。 【鑑賞】内面深くにある言葉にならない憂鬱やもの思いが、ふとした眉の動きや翳りとなって現れる瞬間を捉えています。自省的で研ぎ澄まされた蛇笏らしい厳格さと繊細な情感が宿っています。

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