秋の釈奠

秋の釈奠

あきのせきてん

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意味・由来

「釈奠(せきてん・しゃくてん)」とは、儒教の開祖である孔子とその高弟(顔回ら)を祀る厳かな祭礼のことです。古代中国に始まり、日本でも奈良・平安時代から宮中や大学寮で行われてきました。現在でも湯島聖堂(東京都)や足利学校(栃木県)、多久聖廟(佐賀県)などの孔子廟で春と秋に催されます。俳句では、澄み渡る秋の大気の中で執り行われる儀式の静謐さ、学問や歴史への敬意、雅楽や香の煙が醸し出す格調高い風情を詠む仲秋・晩秋の季語として愛されています。

この季語で詠むコツ

儀式の厳粛さや歴史の重みを感じさせる季語ですので、全体のトーンを落ち着いた、格調高いものに整えるのが基本です。孔子廟の建築物(聖廟、石段、大成殿など)、儀式で用いられる雅楽の調べや香煙、参列者の静かな足音や所作に焦点を当てると臨場感が生まれます。また、秋の澄んだ空気感(秋気、秋澄む、秋晴など)と結びつけることで、祭礼の持つ清冽な美しさが一層引き立ちます。

相性のいい言葉・取り合わせ

  • 雅楽(ががく)、笙(しょう)、篳篥(ひちりき)、太鼓、楽の音
  • 聖廟(せいびょう)、大成殿(たいせいでん)、石階(せっかい)、香煙(こうえん)、幣帛(へいはく)
  • 秋気(しゅうき)、秋風(あきかぜ)、秋澄む(あきすむ)、秋日(あきひ)、木下闇(こしたやみ)

秋の釈奠」の俳句例 (3件)

釈奠の香に立ち迷ふ秋気かな
高浜虚子【現代語訳】釈奠の儀式で焚かれる香の煙が、澄み切った秋の気配のなかにゆらゆらと漂っていることだ。 【鑑賞】秋の引き締まった空気の中に立ち上る薫香の煙を捉えた一句です。「立ち迷ふ」という動きと、静謐な「秋気」の対比によって、儀式の厳かさと秋の透明感が鮮やかに描き出されています。
釈奠や聖廟の秋更けにけり
正岡子規【現代語訳】釈奠の祭礼が行われ、孔子を祀る聖廟にも秋の気配が深く染み渡っている。 【鑑賞】古びた聖廟のたたずまいと、深まりゆく秋の情景をストレートに取り合わせた名句です。学問の祖を祀る場ならではの静寂と、季節の移ろいに対する深い感慨が滲み出ています。
釈奠の沓のひびきや秋の風
阿波野青畝【現代語訳】釈奠の神事で歩む祭官たちの沓の音が厳かに響き、そこへ冷やかな秋の風が吹き抜けていく。 【鑑賞】祭礼で履く儀礼用の履物「沓(くつ)」が石畳や板敷きを鳴らす鋭い音に注目した聴覚的な一句です。その硬質な響きと吹き抜ける秋風が相まって、儀式の緊張感と秋の冷涼さを的確に伝えています。

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