秋の名残

秋の名残

あきのなごり

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意味・由来

「秋の名残(あきのなごり)」は、晩秋から初冬へと季節が移ろう時期に、過ぎ去ろうとする秋を惜しむ情感や、わずかに残る秋の風情そのものを表す季語です。「行く秋」や「秋惜しむ」と心情的には重なりますが、「名残」という言葉が持つ「後まで残る気配や痕跡」というニュアンスが強く、冬の訪れを目前にして秋の美しさや温かさをいとおしむ、繊細で物寂しい情緒が込められています。

この季語で詠むコツ

「秋の名残」という言葉自体に深い叙情が含まれているため、句全体を情緒的にしすぎると抽象的になってしまいます。コツは、秋が去りゆくことを象徴する「具体的なモノや現象」に焦点を当てることです。例えば、散り残った最後の一輪の花、日に日に薄れていく日差し、枯葉を踏む乾いた音など、五感で捉えられる小さな変化を捉えることで、季語の持つ哀愁がより鮮明に引き立ちます。

相性のいい言葉・取り合わせ

・視覚:日影(ひかげ)、夕茜、残り菊、散り紅葉、障子 ・聴覚:風の音、鳥の声、落つる実、足音 ・心情・動作:惜しむ、留む、見送る、佇む

秋の名残」の俳句例 (3件)

掃溜に秋の名残の花一つ
正岡子規【現代語訳】ゴミ捨て場のような荒れた場所に、秋の名残をとどめる花が一輪だけ咲いている。 【鑑賞】見過ごされがちな雑然とした掃き溜めに、ひっそりと残る一輪の花を見出した写生句です。華やかさのない場所だからこそ、残された秋の命の儚さと美しさが際立ちます。
秋の名残菊の香にさへ添ひにけり
与謝蕪村【現代語訳】秋が去りゆく名残惜しさが、漂う菊の香りにまでも寄り添うように染み込んでいる。 【鑑賞】晩秋を象徴する菊の花の凛とした香りに、過ぎ去る季節への惜別の情を重ね合わせた風雅な一句です。嗅覚を通して秋の終わりの寂寥感を豊かに表現しています。
秋の名残草の庵にもなかりけり
小林一茶【現代語訳】秋の名残を惜しむような風情さえ、この粗末な我が草庵には何一つ残っていないことだ。 【鑑賞】風流を気取る余裕もない自らの清貧な暮らしを自嘲しつつ詠んだ句です。何もない侘しさを素直に吐露することで、かえって秋が去った後の冷え冷えとした空気感を際立たせています。

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