秋の霞

秋の霞

あきのかすみ

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意味・由来

古来の和歌の伝統では「春は霞、秋は霧」と呼び分けるのが通例ですが、秋に立ちこめる薄い靄(もや)やかすみをあえて「秋の霞(あきのかすみ)」または「秋霞(あきがすみ)」と呼びます。春の霞がどこかのどかで潤いと暖かさを感じさせるのに対し、秋の霞は澄んだ冷気や寂寥感、もの悲しさを漂わせているのが特徴です。季節の移ろいとともに現れる幽玄で静謐な大気の美しさを捉える季語です。

この季語で詠むコツ

春の霞との「温度感の違い」を意識することが最も重要です。秋の霞には、冷ややかな風や澄んだ空気感、枯れゆく自然の気配が潜んでいます。遠くの山並みや夕暮れの光、水辺の静けさなど、秋ならではの静寂や哀愁を帯びた情景と結びつけると、深みのある句になります。「晴れわたる秋空」との対比や、夕暮れ時の淡い光景を描くのも効果的です。

相性のいい言葉・取り合わせ

・山や空に関する言葉(野末、遠山、夕日、暮色、峰) ・植物・自然の景物(芒、枯草、水鳥、湖、入江) ・静けさや陰影を表す言葉(暮れゆく、かすか、仄か、淡し、冷やか)

秋の霞」の俳句例 (3件)

秋の霞たつや草木のさまざまに
松尾芭蕉【現代語訳】秋の霞が立ちこめていく、草木がそれぞれに色づき衰えゆく野辺の上に。 【鑑賞】春の華やかな霞とは異なり、秋の深まりとともにさまざまな姿を見せる草木の上に、静かに立ちこめる秋霞の寂寥感を素直に捉えた一句です。自然の移ろいへの深いまなざしが感じられます。
秋霞富士をかくして暮れにけり
与謝蕪村【現代語訳】秋の霞が雄大な富士の姿を次第に隠して、そのまま日が暮れてしまった。 【鑑賞】あるはずの富士山が秋霞に包まれて見えなくなり、そのまま静かに夕闇へと溶け込んでいく情景を詠んでいます。蕪村らしい絵画的な構図と、秋特有の広漠とした寂しさが際立っています。
秋の霞野末の山を隠しけり
正岡子規【現代語訳】秋の霞が野原の果てにある山々を覆い隠してしまったことだ。 【鑑賞】広大な野原の彼方に連なる山並みが、薄い秋の霞に包まれてぼんやりと消えていく写生句です。淡く寂しい大気の質感と、秋の夕暮れの広がりが見事に写し取られています。

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