秋なすび

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あきなすび

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意味・由来\n「秋なすび(秋茄子)」は、秋の深まりとともに収穫される茄子のことです。夏の強い陽射しを浴びて勢いよく育つ夏茄子に比べ、昼夜の寒暖差と柔らかな秋の光の中で育つ秋茄子は、皮が薄く実が引き締まり、種が少なくて独特の甘みと旨味が凝縮しています。「秋茄子は嫁に食わすな」という有名なことわざがありますが、これは「美味しすぎるから嫁に食べさせるのが惜しい」という姑の意地悪説や、「体を冷やすから大事な体に障る」「種が少ないので子宝に恵まれなくなるのを案じて」という身体を気遣う説など、諸説あるほど古くからその特別な美味しさが愛されてきました。\n\n### この季語で詠むコツ\n夏茄子の瑞々しさや生命力の強さとは対照的に、秋なすびは「落ち着いた味わい」「澄んだ秋の空気感」「紫の深い色艶」などを意識して詠むのがポイントです。実の黒紫色の美しさや、控えめな薄紫の花、あるいは糠床や台所の温かみ、夕餉のしみじみとした家庭的な風景などと響き合わせると、秋特有のしっとりとした情緒が生まれます。\n\n### 相性のいい言葉・取り合わせ\n・色や光を表す言葉(濃紫、紺、夕日、朝露、澄む)\n・調理や暮らしの言葉(糠床、味噌汁、焼き茄子、包丁、夕餉、素朴)\n・秋の風情を表す言葉(冷やか、初秋、秋風、露)

秋なすび」の俳句例 (3件)

萩原や秋なすびさへ花咲けり
松尾芭蕉【現代語訳】萩の花が一面に咲き乱れる野原の片隅で、秋茄子までもが慎ましやかに薄紫の花を咲かせていることよ。\n【鑑賞】華やかに咲き誇る秋の草花である「萩」と、畑の片隅にある生活感あふれる「秋茄子の花」を対比させた一句です。秋の深まりゆく野の風情の中に、見過ごされがちな野菜の花の健気な美しさを見出した、芭蕉の温かい眼差しが感じられます。
秋茄子や一つに一つ露を置く
小林一茶【現代語訳】秋の茄子畑を見ると、実った茄子の一つひとつに、澄んだ朝露がきらきらと宿っている。\n【鑑賞】秋の早朝の清々しい空気が伝わってくる一句です。畑に生る茄子の一つひとつに宿る露を丁寧に描写することで、濃い紫色の艶やかな茄子の肌と、冷たい露の輝きが目に浮かびます。自然の恵みへの慈しみが一茶らしく素直に詠まれています。
秋茄子もろともに煮る鰯かな
久保田万太郎【現代語訳】秋茄子を、同じく秋の味覚である鰯と一緒に煮炊きしていることだなあ。\n【鑑賞】下町の日常の素朴な夕餉のひとコマを描いた句です。脂ののった鰯と、その旨味をたっぷりと吸い込む秋茄子の組み合わせは庶民の秋の定番料理。台所から立ち上る湯気や匂い、深まりゆく秋の日の生活の温もりがしみじみと伝わってきます。

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