秋蚕

秋蚕

あきご・しゅうさん

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意味・由来

「秋蚕(あきご・しゅうさん)」とは、秋に飼育される蚕(かいこ)のことです。養蚕は春に行われる「春蚕(はるご)」が盛大で知られますが、初秋から晩秋にかけて飼育される秋蚕も重要な生業でした。春の生命感あふれる明るさに比べ、秋蚕の時期は日が短くなり、朝晩の冷え込みが増す季節です。農家の人々は寒さから蚕を守るために室温を保ち、夜なべをして桑の葉を与え続けます。秋の深まりゆく寂寥感と、農村のひたむきな暮らしの営みが重なり合う、情緒深い生活季語です。

この季語で詠むコツ

秋蚕を詠む際は、秋特有の「静けさ」「冷気」「光と影」に着目すると効果的です。数千、数万頭の蚕が一斉に桑を食む「サラサラ」という微細な音は、時に外の秋雨の音のようにも聞こえ、聴覚的な描写がよく映えます。また、秋の夜の寒さ(夜寒)や、暗い山あいの集落にぽつぽつと灯る養蚕農家の明かりなど、視覚的なコントラストを捉えることで、生活のぬくもりや切なさを鮮やかに描き出すことができます。

相性のいい言葉・取り合わせ

・聴覚に関する言葉(桑食む音、夜半の雨、さざめき、静寂) ・光や影に関する言葉(ともしび、灯影、山陰、障子) ・秋の深まり・気候(夜寒、山暮れ、暮早し、露、秋風) ・生活用具・場所(蚕棚、土間、筵、桑籠)

秋蚕」の俳句例 (3件)

秋蚕飼ふ山ふところの暮早し
詠み人知らず【現代語訳】秋蚕を育てる山あいの集落では、あっという間に日が暮れて夜が訪れる。 【鑑賞】山深い里での養蚕の様子を詠んだ句です。秋の訪れとともに釣瓶落としに暮れていく山の夕景と、その中で蚕の世話に追われる人々の忙しさが、澄んだ叙情とともに描き出されています。
秋蚕飼ふ貧しき家に灯の多き
前田普羅【現代語訳】秋蚕を飼育している貧しい農家だが、蚕棚の世話のために家中たくさんの明かりが灯されている。 【鑑賞】秋の冷え込む夜、蚕を温め夜通し世話をするために灯される光を捉えています。貧しい暮らしの中にあっても、蚕という尊い生命を育て生活を支えようとする農家のひたむきさと温もりが感じられる名句です。
秋蚕飼ふ音の雨かと聞き紛ふ
富安風生【現代語訳】秋蚕が桑の葉を食んでいる音が、外で静かに降る秋の雨の音かと聞き間違えるほどだ。 【鑑賞】蚕室一面に広がる蚕が桑を食む微細な音に耳を澄ませた一句です。秋の静まり返った夜の空気の中で、蚕の活動するかすかな音が雨音のように響く様子が繊細な感覚で捉えられています。

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