藜の実

藜の実

あかざのみ

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意味・由来

「藜(あかざ)」は、道端や空き地、荒地などに自生するヒユ科(旧アカザ科)の一年草です。春から夏にかけて伸びた茎は秋になると木質化して硬くなり、秋の深まりとともに葉の脇や枝先に小粒の粒状の実をびっしりと房状につけます。やがて実が熟すとパラパラと地面にこぼれ落ちます。雑草としての力強い生命力と、秋が深まるにつれて枯淡の風情を帯びていく素朴な姿が古くから親しまれ、秋の季語として詠まれてきました。

この季語で詠むコツ

「藜の実」は華やかさとは対極にある、寂びた風情や晩秋の荒涼感を表現するのに適した季語です。実そのものが非常に細かく地味であるため、単に「実が成っている」と述べるだけでなく、実に群がる小鳥(雀や山鳩など)の動き、実がこぼれ落ちるかすかな気配や土の乾き具合など、五感を使った細やかな観察(写生)を取り入れると生き生きとした句になります。

相性のいい言葉・取り合わせ

・動植物:小鳥、雀、土鳩、枯葉、野道、庭先 ・情景・動作:こぼるる(零るる)、ついばむ(啄む)、乾く、荒るる、風、日和 ・感覚・心情:静けさ、日のぬくもり、寂寥、素朴、日差し

藜の実」の俳句例 (3件)

藜の実小鳥の嘴の汚れけり
飯田蛇笏【現代語訳】藜の実を夢中でついばんだのだろう、小鳥のくちばしがその実で汚れていることだ。 【鑑賞】細やかな観察眼が光る名句です。藜の小さな実をついばむ小鳥の仕草と、汚れの残るくちばしという微細な情景をクローズアップすることで、秋の深まる静かな野山の生命感を鮮やかに切り取っています。
藜の実こぼれて庭の荒れにけり
水原秋桜子【現代語訳】藜の実が熟してこぼれ落ち、庭はすっかり荒れて晩秋の寂しさを漂わせている。 【鑑賞】秋が深まり、草木が枯れゆく庭の荒寥とした気配を「藜の実のこぼれるさま」に託して詠み上げています。季節の移ろいに対する無常観と、静寂に包まれた晩秋の風情がしみじみと伝わります。
藜の実こぼるゝ庭の小鳥かな
正岡子規【現代語訳】庭の藜の実がはらはらとこぼれ落ちており、そこへ小鳥が集まってきていることだよ。 【鑑賞】やや荒れた秋の庭に、こぼれ落ちる藜の実を目当てにして集まる小鳥たちの穏やかなひとときを詠んでいます。平明な言葉の中に、晩秋のあたたかな日差しと素朴な自然の営みが感じられます。

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