揚花火

揚花火

あげはなび

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意味・由来\n「揚花火(あげはなび)」とは、火薬を詰めた玉を夜空高く打ち上げて炸裂させる花火のことです。現代では夏の風物詩としての印象が強いですが、俳句の歳時記では伝統的に「秋(初秋)」の季語に分類されます。これは旧暦七月の両国の川開きや、盆の送り火・慰霊・水神祭などの行事と結びついて発展してきた歴史があるためです。大輪の光が夜空に咲き誇る華やかさと、一瞬で消え去った後に訪れる秋の涼風や暗闇の寂しさが、日本人の無常観や詩情を強く刺激します。\n\n### この季語で詠むコツ\n揚花火は「光の華やかさ」「轟く音」「消えた後の余韻や静寂」という劇的な変化を持つ季語です。すべてを描こうとせず、どの瞬間に焦点を当てるかを絞り込むのが成功の秘訣です。たとえば、打ち上がる前の期待感、空いっぱいに開いた瞬間の色彩、あるいは消えた直後の暗闇や夜風の冷たさなど、五感(視覚・聴覚・触覚)の動きを意識して切り取ると、臨場感あふれる句になります。\n\n### 相性のいい言葉・取り合わせ\n・光と闇の対比:「漆黒」「星明かり」「後の闇」「水面(みなも)」\n・音と静寂:「轟く」「胸に響く」「しじま」「ざわめき」\n・季節感・余情:「秋風」「夜風」「川波」「煙の行くへ」

揚花火」の俳句例 (3件)

揚花火消えてしまひし後の闇
阿波野青畝【現代語訳】打ち上げられた花火がぱっと消え去ってしまった後に、いっそう深い闇が広がっていることだ。\n【鑑賞】揚花火の華麗な光景そのものではなく、それが消え去った瞬間の圧倒的な「闇」に焦点を当てた名句です。光の残像と急に訪れる暗闇の落差によって、花火の儚さと秋の夜の深さが鮮やかに際立っています。
揚花火水にひらいて水に消ゆ
鈴木真砂女【現代語訳】打ち上げ花火が水面に映りながら大きく開き、そのまま水面の中で消えてゆく。\n【鑑賞】夜空ではなく水面に映る花火の美しさと儚さを捉えた句です。「水にひらいて水に消ゆ」という簡潔でリズミカルなリフレイン(畳語表現)が、一瞬の夢のような情景を美しく描き出しています。
揚花火ひとしきりして星月夜
飯田蛇笏【現代語訳】盛んに打ち上げられていた花火が一段落すると、夜空には満天の星が月のように明るく輝いている。\n【鑑賞】人工の激しい光と轟音が止んだあとに現れる、静かで広大な自然の星空(星月夜)との対比が見事です。花火の熱狂が去った後の澄んだ秋の夜空の美しさと静寂が深く心に染み渡ります。

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