烏触

烏触

うしょく

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意味・由来

「烏触(うしょく)」とは、晩秋の柿の木に残された熟柿を、烏(カラス)をはじめとする野鳥がつついて食べた跡、または鳥につつかれた柿そのものを指す季語です。「烏突(からすつつき)」や「鳥食(とりはみ)」とも呼ばれます。収穫期を過ぎて葉がすっかり落ちた梢に、ぽつんと残された朱色の柿の実を鳥がついばむ姿や、食べ残されて果肉が崩れた様子は、晩秋から初冬へと移ろう季節の深まりと、どこか物悲しい寂寥感を象徴する風情として親しまれてきました。

この季語で詠むコツ

烏触を詠む際は、高い梢に残る鮮やかな柿の「朱色」と、秋の澄んだ「青空」や傾く「夕日」との色彩の対比を意識すると情景が鮮明になります。人が採り残した柿が鳥の糧となり、やがて自然に還っていく素朴な里山の営みや、静まり返った寒々しい空気感を切り取ると、季語の持つ哀愁と風情が引き立ちます。

相性のいい言葉・取り合わせ

・光・空(夕日、斜陽、日影、冬近し、秋晴) ・木・枝(梢、裸木、枝先、高枝、古木) ・場所・気配(山里、日暮れ、羽音、静寂)

烏触」の俳句例 (3件)

烏触の柿赤うして日暮れたり
正岡子規【現代語訳】烏につつかれた梢の柿が鮮やかな赤色を残したまま、あたりは静かに日が暮れていく。 【鑑賞】葉の落ちた木の上で、鳥がついばんだ熟柿の赤さだけが夕暮れの光の中で際立っています。子規らしい明快な写生でありながら、秋の日の短さと寂しさがしみじみと伝わってくる名句です。
烏触や日当る枝の熟柿一つ
正岡子規【現代語訳】烏につつかれた痕のある熟柿が、日の当たる枝先にたった一つだけ残っている。 【鑑賞】晩秋の柔らかな日差しを浴びる枝先に、一つだけ残った烏触の柿を捉えています。自然の恵みと鳥の痕跡、そして静かな孤独感が一幅の絵画のように美しく切り取られています。
烏触に低き日させる梢かな
河東碧梧桐【現代語訳】烏につつかれた柿の実のある梢に、傾いた秋の低い日差しが斜めに射し込んでいる。 【鑑賞】晩秋の低くなった太陽の光が、鳥につつかれて崩れかけた熟柿を照らし出している情景です。季節の衰微と光の美しさが調和した、静謐で風情豊かな句です。

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