落葵

落葵

つるむらさき

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意味・由来\n「落葵(つるむらさき)」は、熱帯アジア原産のツルムラサキ科のつる性一年草で、俳句では秋の季語です。夏から初秋にかけて淡紅色の小花を咲かせたのち、秋が深まるにつれて艶のある黒紫色の果実を実らせます。熟した実を潰すと鮮やかな紅紫色の汁が出ることが「蔓紫」の名の由来となっており、古くは染料としても重宝されました。漢名の「落葵」が当てられています。独特のぬめりを持つ葉や茎は栄養価の高い野菜としても親しまれており、生活に密着した野趣あふれる植物です。\n\n### この季語で詠むコツ\n落葵を詠む際は、蔓を伸ばす生命力もさることながら、秋に実る「黒紫の実」の質感や色彩に焦点を当てるのが定番かつ効果的です。実を潰したときの濃い紫の汁や、指先・着物を染める染料としての働き、あるいは家庭菜園や生垣に絡みつく素朴な佇まいなどを具体的に描写すると、季節の深まりと生活感が鮮やかに浮き彫りになります。艶やかな実の黒紫色と、秋の澄んだ光や衰えゆく蔓の葉とのコントラストを意識してみましょう。\n\n### 相性のいい言葉・取り合わせ\n- 色彩・質感:「黒紫」「紫の汁」「濡れ色」「つぶつぶ」「露」\n- 動作・生活:「実をつぶす」「指染む」「垣根」「裏畑」「夕餉(ゆうげ)」\n- 季節の情景:「秋深し」「秋の日」「暮色」「野分(のわき)跡」

落葵」の俳句例 (3件)

落葵の実をつぶしつゝ老いにけり
草間時彦【現代語訳】落葵の熟れた実を指でプチプチと潰しながら、ふと自分もこうして年老いてしまったのだなあとしみじみ思うことだ。\n【鑑賞】落葵の実は潰すと濃い紫の汁が出ます。何気なく実を潰す指先の感触と、鮮やかに染まる皮膚の生々しさが、老いゆく肉体への内省と見事に重なり合っています。枯淡でありながら人間の情念を感じさせる名句です。
落葵や染物屋の裏畠
正岡子規【現代語訳】落葵が青々と茂り実を結んでいる。見ればそこは染物屋の裏手にある畑であった。\n【鑑賞】落葵の実がかつて紅紫色の染料として用いられていた歴史的・生活的な背景を巧みに捉えた写生句です。職業としての染物屋の生活空間と、庭先に実る落葵が鮮やかに結びつき、江戸・明治の暮らしの匂いを感じさせます。
落葵の実のつぶれ汁児の手より
山口青邨【現代語訳】子どもが落葵の実を面白がって潰したのだろう、その小さな手から紫色の果汁が滴り落ちている。\n【鑑賞】好奇心旺盛な子どもが、濃い紫の実を潰して遊んでいる微笑ましい情景を切り取っています。鮮烈な紫の汁と子どもの柔らかな手の対比が視覚的にも鮮やかで、生活の中の自然との触れ合いが温かく描かれています。

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