海桐の実

海桐の実

とべらのみ

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意味・由来

「海桐の実(とべらのみ)」は晩秋の季語です。トベラは主に本州以南の海岸沿いに自生する常緑低木で、塩風に強いのが特徴です。初夏に白い芳香のある花を咲かせた後、秋が深まるころに球形の緑褐色の実が熟します。晩秋になるとその実は三つに厚く裂開し、中からねばねばとした粘液に包まれた鮮烈な朱赤色の種子が顔を出します。 名前の「トベラ」は、節分の夜にこの木の枝を扉に挟み、その独特の強い臭気で鬼や邪気を払った「扉木(とびらのき)」が転訛したものと言われています。荒涼とし始める晩秋の海辺で、目を射るような鮮やかな赤がひときわ印象的です。

この季語で詠むコツ

海桐の実の最大の魅力は、外側の地味な果皮が割れて内側から現れる「朱赤の種子の鮮烈さ」と「海の景との対比」にあります。実が「はじける」「裂ける」瞬間の動きや、粘り気のある質感、そして灰色の海や風とのコントラストを描くと臨場感が出ます。海岸、岬、断崖、潮風といった海辺特有の厳しい自然環境と取り合わせることで、小さな実の放つ生命力の強さを際立たせることができます。

相性のいい言葉・取り合わせ

・海・岬・波・巌(いわお)・潮風(海辺の自然環境) ・裂く・はじく・こぼる・赤し・くれなゐ(実の形状や色彩を表す動詞や形容詞) ・日差・夕日・曇天(光のコントラスト)

海桐の実」の俳句例 (3件)

海桐の実のはじけて赤き日和かな
清崎敏郎【現代語訳】海桐の実がぱっくりとはじけて、鮮やかな赤色を覗かせている、なんと心地よい秋晴れの日和だろうか。 【鑑賞】澄み渡る秋の光の中で、はじけた海桐の実の鮮烈な赤が一際引き立っています。「はじけて赤き」という平明で的確な描写によって、実の瑞々しさと穏やかな小春日和のような景観が素直に伝わってくる心地よい一句です。
海桐の実の赤きを見れば海暮るる
大野林火【現代語訳】海桐の実の鮮烈な赤を見つめているうちに、目の前の海はいつの間にか夕闇に暮れてゆく。 【鑑賞】晩秋の海辺の夕暮れの早さと、薄暗くなっていく海原を背景に、ぽっと浮き上がるような海桐の実の赤色が鮮やかに焼き付く作品です。静まり返る海と、種子の持つ熱を帯びたような赤との対比が叙情を深めています。
海桐の実はじけて海へ傾けり
右城暮石【現代語訳】海桐の実が割れて赤い種を覗かせ、その枝は広大な海に向かって身を乗り出すように傾いている。 【鑑賞】潮風に晒されながらも、海に向かって枝を伸ばす海桐のたくましさと、はじけた実の赤が印象的です。「海へ傾けり」という動勢のある描写により、荒々しい海岸の断崖や吹き付ける風の存在が鮮やかに想起されます。

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