水蜜桃

水蜜桃

すいみつとう

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意味・由来\n水蜜桃(すいみつとう)は、果汁が多く甘みに富んだ桃の品種群、あるいは現代の食用桃(白桃系など)全般を指す秋の季語です。中国原産の水蜜桃は明治時代に日本に導入され、品種改良を経て広く親しまれるようになりました。果皮が薄く、手で剥けるほど柔らかでジューシーなのが特徴です。俳句においては単なる「桃」よりも、溢れる果汁や繊細な柔らかさ、上品な甘美さが強調される季語として重宝されます。\n\n### この季語で詠むコツ\n水蜜桃の最大の魅力は、その「みずみずしさ」「柔らかさ」「甘い香り」にあります。五感を総動員して、剥くときの指先の感覚、果汁の滴る様子、淡い紅色の色彩などを捉えましょう。また、その優しくデリケートな質感から、母情、病気見舞い、女性的な優しさ、あるいは生の儚さといった情感と響き合いやすいのも特徴です。\n\n### 相性のいい言葉・取り合わせ\n- 触覚・動作:剥く、割く、滴る、掌(てのひら)、指先、冷やす\n- 器・道具:銀の匙、白磁、ナイフ、包み紙\n- 情景・心情:夕茜、病牀(びょうしょう)、微熱、母、赤子

水蜜桃」の俳句例 (3件)

水蜜桃やわらかきところ母に割く
加藤楸邨【現代語訳】水蜜桃の果肉のなかでも、ひときわ柔らかく甘い部分を選んで母に分けて差し上げる。\n【鑑賞】熟した水蜜桃を丁寧に手で割り、最も柔らかい部分を老いた母に差し出す情景です。果物の繊細な甘美さと、母を思いやる作者の温かい情愛が見事に調和しています。
水蜜桃みどりごの頬の如く冷ゆ
西東三鬼【現代語訳】よく冷やした水蜜桃は、まるで生まれたばかりの赤ん坊の頬のように柔らかく冷えている。\n【鑑賞】冷やした桃の感触を「みどりご(乳児)の頬」に喩えた直喩が鮮やかです。みずみずしく柔らかな生命力と、かすかなひんやりとした触感が読者の肌に直接伝わってくる名句です。
水蜜桃剥けばあふるる夕茜
木下夕爾【現代語訳】水蜜桃の薄皮を剥くと、夕暮れの茜色の光が一面に溢れ出してくるようだ。\n【鑑賞】桃の淡い紅色と、部屋に差し込む夕焼けの茜色が溶け合うような幻想的な美しさを捉えています。桃を剥くという日常の動作から、夕暮れの豊かな抒情へと一気に視界が広がる一句です。

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