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「時雨忌(しぐれき)」とは、俳諧の祖である松尾芭蕉の忌日のことです。陰暦十月十二日(現在の十一月下旬頃)に大阪の花屋仁左衛門屋敷で亡くなりました。芭蕉が生涯を通じて初冬の通り雨である「時雨」を好み、多くの名句を残したことからこの名で呼ばれています。「翁忌(おきなき)」や「芭蕉忌(ばしょうき)」とも呼ばれますが、「時雨忌」と呼ぶことで、初冬の冷たい雨が通り過ぎる物静かな情緒と、漂泊の詩人であった芭蕉への哀悼の念がより深く漂います。
偉大な先人を偲ぶ季語ですので、芭蕉の旅路や侘び寂びの精神に思いを馳せて詠むのが基本です。ただし、単に偉人を称えるだけでなく、現代の日常や目の前の自然風景の中に「芭蕉の気配」を見出す工夫をしてみましょう。例えば、冷たい雨に濡れる石畳、旅先で見かけた古寺、手にとった墨や文庫本など、静けさや孤独感を漂わせる情景を描き出すと、時雨忌の持つ深い陰影が際立ちます。
・旅にまつわる言葉(杖、草鞋、笠、道標、宿) ・書や風流にまつわる言葉(墨色、古書、筆、短冊) ・初冬の情景を描く言葉(薄日、濡れ落葉、水音、古寺、静寂) ・芭蕉の代表句を想起させる言葉(古池、枯野、旅心)