俳句びとは、季語から一句を詠んで共有できる無料の俳句SNSです。気になる季語を選んで、一句詠んでみましょう。
正岡子規や高浜虚子などの名句(出典つき)とともに、11月を代表する季語を紹介します。
しぐれ
三日月を時雨てゐるや沖の隅
意味・由来 「時雨」とは、主に初冬のころ、降ったりやんだりを繰り返す小雨のことです。青空が広がっていたかと思うと急に曇り、パラパラと通り雨のように降ってはまた晴れ間がのぞく、変わりやすい天候を指します。語源は空が急に曇って雨が通り過ぎる「過ぐる(すぐる)」や、静かに降る「しずく」から転じたとも言われ
こがらし
木枯や木はみな落ちて壁の骨
意味・由来 秋の終わりから初冬にかけて吹き荒れる、木の葉を吹き落とすような冷たく強い北寄りの風のことです。「木を枯らす風」という意味合いからその名がついており、冬の到来を強く実感させる代表的な時候の季語です。吹きすさぶ風によって風景から色彩が失われ、冬枯れの景色へと移り変わっていく季節の厳しさを内包
はつゆき
初雪や小鳥のつゝく石燈籠
意味・由来 「初雪」とは、その年の冬に初めて降る雪のことです。暦の上で冬に入り、いよいよ寒さが本格的になったことを実感させる季語です。深く降り積もる雪とは異なり、空からちらちらと舞い落ちてくる数片の雪に気づいた瞬間の驚きや、季節の移ろいに対する感慨が込められています。古くから生活や農事の目安としても
さよしぐれ
からかさを千鳥はしるや小夜時雨
意味・由来 「小夜時雨(さよしぐれ)」とは、初冬から冬のさなかにかけて、夜間に通り雨のようにさっと降る冷たい雨のことです。「小夜」は夜を風情豊かに表現した美称であり、漆黒の夜の静けさや孤独感を際立たせます。古今集などの古典和歌の時代から愛好されてきた言葉で、冬の夜の寒々とした情景とともに、人の心の寂
はつしぐれ
渡し呼ぶ人は我なり初時雨
意味・由来 初時雨とは、冬の季節になってから初めて降る時雨(しぐれ)のことです。時雨とは、晩秋から初冬にかけて降ったりやんだりする冷たい通り雨のことで、本格的な寒冷期へ移り変わる合図でもあります。昔から日本人の美意識を強く刺激してきた自然現象であり、俳聖として名高い松尾芭蕉も愛好した冬の代表的な季語
このは
木の葉やく寺のうしろや普請小屋
意味・由来 「木の葉」は、一般的には樹木の葉全般を指しますが、俳句の季語としては「初冬に風に吹かれて散る葉」や「冬の落葉」のことを意味します。色づいて美しく舞い散る秋の「紅葉」とは異なり、役目を終えて枯れ、乾いた音を立てて散りゆく寂しげな冬の風情が宿っています。木々が葉を落とし、枝だけの寒々とした姿
かんなづき
返事せぬつんぼのぢゞや神無月
意味・由来 「神無月」は旧暦十月の異名で、現在の暦では十一月頃にあたる初冬の季語です。日本全国の八百万の神々が出雲大社に集まって会議を開くため、各地の神社から神様が留守になる月という意味から「神無月」と呼ばれるようになったという説が広く知られています(逆に出雲地方では「神在月」と呼ばれます)。また、
こたつ
硯このむ奈良の法師の巨燵哉
意味・由来 炬燵は、冬の寒さを凌ぐための代表的な暖房具であり、三冬を通して親しまれている季語です。室町時代に禅寺などで炉の上に櫓を組み、布団を掛けたのが始まりとされ、江戸時代には庶民の生活に広く浸透しました。現代では電気式の置き炬燵が主流ですが、古くは床を掘り下げて炭火を置いた「掘り炬燵」が一般的で
ちゃのはな
茶の花や利休の像を床の上
意味・由来 「茶の花」は初冬の季語で、お茶の木(チャノキ)に咲く花のことです。十月下旬から十一月頃、つややかな濃い緑の葉の陰で、白く丸みのある五弁の花をうつむき加減に咲かせます。中心にはたくさんの黄色い雄しべが集まり、清楚で素朴な美しさを持っています。春の「茶摘み」の華やかさや活気とは対照的に、初冬
さざんか
山茶花の散りつゞきたるそこらまで
意味・由来 山茶花はツバキ科の常緑小高木で、晩秋から真冬にかけて白や桃色、紅色の花を咲かせる代表的な冬の季語です。名前は中国で椿類を指す「山茶」に由来し、その花を指す「山茶花」の読みが「さんさか」から転じて「さざんか」へと定着しました。木枯らしが吹き、多くの草木が葉を落とす寒空の下で、艶やかな緑の葉
ひばち
手の皺を引きのばし見る火鉢哉
意味・由来 火鉢は、陶器や木製、金属製などの器に灰を敷き、熾した炭火を入れて暖をとる冬の生活道具です。平安時代の「炭櫃」に起源を持ち、江戸時代から昭和の半ばにかけて庶民の暖房や湯沸かし、簡単な調理に欠かせない存在でした。部屋全体を暖めるのではなく、手をかざす人だけをそっと暖める、日本の伝統的な冬の風
こはる
小烏の鳶なぶりゐる小春哉
意味・由来 「小春」は、陰暦十月(現在の十一月頃から十二月上旬)の、まるで春に戻ったかのように穏やかで暖かい晴天を指す冬の季語です。「小春日和」という言葉でも親しまれています。これから本格的な寒さを迎える初冬に、束の間訪れる柔らかい日差しに恵まれた日を、昔の人々は春の情景に重ね合わせ、親愛の情を込め