鴫の羽盛

鴫の羽盛

しぎのはもり

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意味・由来

「鴫の羽盛(しぎのはもり)」とは、秋が深まる頃、渡り鳥である鴫(しぎ)の羽毛が美しく生え揃い、色艶が最も鮮やかになる状態を指す季語です。また、この時期の鴫は越冬や渡りに備えて体にたっぷりと脂が乗り、食用としても最も美味な旬を迎えるとされます。古来、和歌や俳諧において鴫は「夕暮れの寂寞とした水辺」の風情を象徴する鳥として親しまれてきましたが、「羽盛」という言葉には、秋の深まりとともに生命力を充実させる鳥の美しさと季節の成熟が凝縮されています。

この季語で詠むコツ

単に鳥の姿を描くだけでなく、羽の繊細な重なりや色合い、または秋の水辺の光と影を意識して詠むのがポイントです。「羽盛」という言葉自体に充実感と晩秋の冷涼な空気が宿っているため、夕暮れの寂しげな風景の中に、ピンと張り詰めた美しさや命の輝きを対比させると効果的です。

相性のいい言葉・取り合わせ

  • 水辺の情景:夕潮、入江、干潟、葦原(あしはら)、沢
  • 時間・天候の言葉:夕暮れ、薄暮、夕日、初時雨、秋風
  • 質感・色彩の言葉:濡れ色、斑(ふ)、艶、ひそやか

鴫の羽盛」の俳句例 (3件)

鴫の羽盛いつのまにやら時雨けり
小林一茶【現代語訳】鴫の羽が生え揃って美しくなる頃、いつの間にか冷たい時雨が降ってきたことだ。【鑑賞】晩秋の深まりとともに鴫の羽が充実する季節の移ろいと、ふいに降り出した初冬の気配を含んだ時雨の情景を、一茶らしい素直でしみじみとした口調で捉えた一句です。
鴫の羽盛山は夕日の名残かな
三宅嘯山【現代語訳】鴫の羽毛が美しく生え揃うこの季節、遠くの山には沈みゆく夕日の光が名残惜しそうに残っている。【鑑賞】水辺に集う鴫の艶やかな羽の美しさと、遠山の稜線を赤く染める夕残りの光の対比が絵画的で格調高い句です。秋の夕暮れの静けさと広がりが感じられます。
鴫の羽盛夕汐みつる渚かな
蝶夢【現代語訳】鴫の羽が生え揃う頃、夕方の満ち潮が静かに渚へと満ちてくることだ。【鑑賞】満ちてくる潮の水面のきらめきと、そこに遊ぶ鴫の美しい羽色が重なり合い、秋の渚の清澄で静謐な美を余すところなく描き出しています。

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