山人忌

山人忌

さんじんき

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意味・由来

「山人忌(さんじんき)」は、江戸時代後期の代表的な戯作者・浮世絵師である山東京伝(さんとうきょうでん)の忌日(旧暦9月7日)を指す秋の季語です。京伝が「醒菴山人(せいあんさんじん)」などの号を用いたことからこのように呼ばれます。京伝は『通言総籬』などの洒落本や数多くの黄表紙を著して一世を風靡したほか、銀座で煙草入れなどの喫煙具店を営む町人商人としても親しまれました。そのため、文人の追悼季語でありながら、江戸町人の洒脱な気風や下町情緒、哀愁を色濃く帯びています。

この季語で詠むコツ

山東京伝の人物像や業績を背景に置くことで、深みのある句になります。戯作文学にちなんだ「草紙」「手習」「筆」、あるいは彼が商った「煙草」「煙管(きせる)」といった小道具を取り合わせると、江戸情緒豊かな世界観を描き出せます。また、深まりゆく秋の気配や下町の風景と重ねて、失われゆく江戸の粋や哀感をしっとりと詠み込むのもおすすめです。

相性のいい言葉・取り合わせ

  • 江戸・下町を思わせる言葉:浅草、両国、銀座、路地、夕明り
  • 文芸・道具に関する言葉:草紙、版本、墨色、煙管、羅宇(らう)、刻み煙草
  • 秋の情景描写:秋風、秋気、灯(ひ)影、澄む

山人忌」の俳句例 (3件)

山人忌けふの烟草の煙かな
飯田蛇笏【現代語訳】山人忌を迎えた今日、くゆらせる煙草の煙がどこか心にしみるように立ち上っている。 【鑑賞】煙草入れを考案・販売して大流行させた京伝へのオマージュとして、煙草の煙を取り合わせています。秋の静かな時間の中で文人を偲ぶ風情が漂います。
手ならひの草紙みづ色山人忌
阿部みどり女【現代語訳】手習い(習字)のお手本である草紙の水色が美しい、今日は山東京伝の忌日であることだ。 【鑑賞】京伝の戯作者としての面影を「草紙」に託し、その表紙や紙の爽やかな「みづ色」によって初秋の澄んだ空気感を巧みに表現した名句です。
山人忌江戸のなごりの夕暮れて
久保田万太郎【現代語訳】山東京伝忌の今日、下町にわずかに残る江戸の名残を感じさせながら静かに夕暮れていく。 【鑑賞】浅草育ちの万太郎らしい、江戸情緒への愛惜と秋の夕暮れの寂寥感が「山人忌」の季語とともに溶け合っています。

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