洎夫蘭の花

洎夫蘭の花

さふらんのはな

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意味・由来

「洎夫蘭(サフラン)の花」は、晩秋に咲くアヤメ科の多年草の花で、秋の季語です。地中海沿岸原産で、日本には江戸時代末期に薬用植物として伝来しました。秋が深まる頃、地表近くから松葉のような細い葉とともに、清楚で上品な淡紫色の六弁花を咲かせます。花の中央には長く伸びる鮮やかな深紅色の3本の雌しべ(柱頭)があり、これを乾燥させたものが生薬や高級香辛料として知られるサフランになります。どこか異国情緒があり、静けさの中に鮮烈な赤を秘めた佇まいが特徴です。

この季語で詠むコツ

花びらの涼やかな淡紫色と、中心から垂れる雌しべの目の覚めるような赤い色彩のコントラストを捉えるのが基本です。また、球根を水や土なしでも開花させられる特性があるため、窓辺や机上、病室の小鉢などに置かれて咲く室内風景として詠まれることも多くあります。晩秋の澄んだ空気や寂寥感の中に、ぽっと灯るような温もりや、薬草としての効能に寄り添う心理的な情景を描き出すと深みが増します。

相性のいい言葉・取り合わせ

  • 色彩・形状の言葉: 「深紅(くれない)」「紫」「糸」「めしべ」「一輪」
  • 暮らし・屋内の言葉: 「窓辺」「病牀(びょうしょう)」「机」「小鉢」「日差(ひざし)」
  • 季節・気分の言葉: 「晩秋」「静けさ」「薬のかほり」「澄む」

洎夫蘭の花」の俳句例 (3件)

サフランや病む妻の瞳のすきとほり
詠み人知らず【現代語訳】サフランの花が咲いている。病に臥せっている妻の瞳は、どこまでも澄み透っている。【鑑賞】薬用植物としても親しまれるサフランの清廉な花姿が、病床にある妻の清らかな瞳と重なり合っています。妻への深い慈しみと、秋の静謐な空気感が美しく調和した名句です。
サフランの咲くや日和のよきままに
高浜虚子【現代語訳】穏やかで心地よい秋晴れの日が続く中で、サフランの花が咲いていることだ。【鑑賞】晩秋の穏やかな小春日和の光景を素直に写し取った一句です。気取らない表現の中に、秋の暖かな日差しと、庭先や窓辺でひっそり咲くサフランの慎ましい風情が過不足なく描かれています。
サフランの花さきつぎて病篤し
日野草城【現代語訳】サフランの花が次々と咲き継いでいく一方で、私の病状はますます重くなっていく。【鑑賞】長い闘病生活の中で詠まれた句です。部屋の片隅で可憐に、しかし休まず咲き続けるサフランの鮮やかな生命力と、自らの衰えゆく身体との対比が、静かな悲痛さを帯びて胸に迫ります。

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