残る蛍

残る蛍

のこるほたる

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意味・由来\n「残る蛍(のこるほたる)」は、秋になっても生き残ってほのかに光を放っている蛍のことです。初夏の風物詩である蛍は盛夏を過ぎると姿を消していきますが、秋風が立ち始める初秋の夜に、わずかに生き残った蛍が弱々しく、頼りなげに明滅することがあります。命の終わりを感じさせるその姿には、夏の喧騒の余韻とともに、もの悲しさや秋の深まり、命の儚さが色濃く宿っており、古くから人々の哀感を誘う初秋の季語として愛されてきました。\n\n### この季語で詠むコツ\n最盛期の蛍が持つ乱舞する力強さや幻想的な華やかさとは対照的に、「孤高」「衰微」「静寂」に焦点を当てるのが基本です。光の弱さ、飛び方の頼りなさ、草むらや水辺の冷涼感などを捉えると、季語の情趣がいっそう引き立ちます。また、季節の移ろい(秋風や冷気、虫の声など)を背景として配することで、ぽつんと光る残る蛍の存在感を際立たせることができます。\n\n### 相性のいい言葉・取り合わせ\n・光や動きを表す言葉:ひとすじ、かすか、頼りなげ、ゆらぐ、沈む、縋る\n・自然・時間帯を表す言葉:夜半、露、草むら、川風、水音、秋風、冷気

残る蛍」の俳句例 (3件)

残る蛍夜半の障子に縋りけり
正岡子規【現代語訳】秋になっても生き残った蛍が、真夜中の障子に力なくすがりついていることだ。\n【鑑賞】病床にあった子規自身の境遇とも重なるような、痛切な哀感と情愛がにじむ句です。夜更けの白い障子にかすかな光を放ちながら懸命に留まる残る蛍の姿に、尽きかけようとする命の切実さと美しさが凝縮されています。
残る蛍一つになりて飛びにけり
臼田亜浪【現代語訳】秋の闇の中、生き残った蛍がとうとう一匹だけになって飛んでいる。\n【鑑賞】盛夏のころには無数に舞っていた蛍が、秋を迎え、ついに一匹だけの光になってしまった情景を詠んでいます。「一つになりて」という表現に、取り残された孤独感と、命の最後の灯をともす蛍への深い慈しみが感じられます。
水音のくらきに落つる残る蛍
加藤楸邨【現代語訳】暗い川音の底へと、生き残った蛍が力尽きるように落ちていく。\n【鑑賞】夜の暗闇に響く冷たい水音と、弱々しい蛍の光の対比が鮮烈な名句です。飛ぶ力を失った蛍が闇の中へと沈んでいく瞬間を捉え、生の終焉がもたらす凄みと哀愁を鋭く描き出しています。

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