寝待

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ねまち

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意味・由来 「寝待(ねまち)」は、陰暦八月十九日の夜、またはその夜に出る月のことです。「寝待月(ねまちづき)」や「臥待月(ふしまちづき)」とも呼ばれます。十五夜の満月から始まり、十六夜(いざよい)、十七夜の立待(たちまち)、十八夜の居待(いまち)と、月の出は毎晩約五十分ずつ遅くなっていきます。十九夜ともなると月の出は夜の九時から十時過ぎ頃となり、人々が「もう起きて待っていられない、横になって寝て待とう」としたことからこの名がつきました。深まりゆく秋の夜長と、夜更けの静寂を象徴する趣深い季語です。 ### この季語で詠むコツ 月そのものの輝きを描くのはもちろんですが、月の出を待つ間の時間経過や、待ちくたびれて横たわる人間の心理・生活感を盛り込むと味わいが深まります。夜更けの静けさ、秋の冷気、窓から差し込むかすかな光など、時間帯ならではの空気感を捉えることがポイントです。月を直接見上げるだけでなく、部屋の明かりを消して月光を待つような落ち着いた情景もよく合います。 ### 相性のいい言葉・取り合わせ 「夜半(よわ)」「更くる」「枕」「障子」「縁側」「秋風」「蟋蟀(こおろぎ)」「冷やか」など、深夜の静寂や室内の気配、秋の深まりを感じさせる語と好相性です。

寝待」の俳句例 (3件)

脱ぎ捨てて寝待の月の蟋蟀よ
加舎白雄【現代語訳】着物を脱ぎ捨てて横になり、寝待の月を待っていると、どこからか蟋蟀の声が聞こえてくることだよ。【鑑賞】寝待の月の出を待つ寛いだ夜のひとときを描いた句です。衣服を脱ぎ捨てて横たわる気楽さと、静かな室内に響く秋の虫の鳴き声が、遅い月の出を待つ夜長の風情を見事に伝えています。
寝待月まことの更けになりにけり
及川貞【現代語訳】寝待の月が昇る頃となり、夜も本当に更け切ったのだなあと深く感じる。【鑑賞】十九夜の月がようやく昇ってきたのを見て、夜の深まりを実感している素直で実感のこもった句です。「まことの更け」という実感が、寝待の月の遅さと、深まりゆく秋の夜のしじまを際立たせています。
寝待月寝て待つほどのこともなく
星野立子【現代語訳】寝待の月というけれど、寝て待つほど待たされることもなく、思いのほか早く月が出てきたことだ。【鑑賞】言葉の由来である「寝て待つ」を逆手に取った、立子らしい軽妙で日常的な感性が光る句です。家族の団欒や読書など、何かに熱中しているうちに気づけば月が昇っていたという、現代にも通じる日常の時間の流れが軽快に表現されています。

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