名木紅葉

名木紅葉

なのきのもみじ

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意味・由来

「名木紅葉(なのきのもみじ)」とは、古くからその美しさや由緒が世に知れ渡っている名木・銘木の紅葉を指す晩秋の季語です。『古今和歌集』の仮名序にある「初雁の初声、秋萩の散る花、名木の紅葉を見ても…」という一節に由来し、平安の昔から紅葉の代名詞的な美称として用いられてきました。単に山野を染める紅葉全体を指すのではなく、名刹の境内や名園に根を張る樹齢を重ねた古木など、特別な風格と歴史を宿した一本の紅葉を讃える雅やかな響きを持っています。

この季語で詠むコツ

「名木」という言葉が持つ重厚感や格式を意識することが大切です。山全体の紅葉を詠むのではなく、堂々たる一本の幹の太さ、見事な枝ぶり、あるいはその木が長い年月をかけて見てきた歴史の深さに焦点を当てましょう。木そのものを細かく描写するだけでなく、参拝者たちの感嘆の表情や、秋の日差しを浴びて静まり返る周囲の佇まい(寺社の甍や苔庭など)と対比させることで、名木ならではの神聖な気品が際立ちます。

相性のいい言葉・取り合わせ

  • 建造物・場所:古刹、山門、石段、苔庭、甍(いらか)、天守
  • 自然・光景:青空、日和(ひより)、木漏れ日、夕日、影、梢
  • 動作・心情:仰ぐ、訪ふ(とふ)、辞す、静もる、歩みを止む

名木紅葉」の俳句例 (3件)

名木紅葉しづもる寺を辞しにけり
松本たかし【現代語訳】名木の紅葉が静かに照り映えている寺を、名残を惜しみつつ後にした。 【鑑賞】美しい紅葉の名木を心ゆくまで鑑賞し、静まり返った古寺を退出する場面です。「しづもる」という言葉が、名木の圧倒的な美しさと寺院の静寂さを際立たせており、立ち去る際の深い余韻を感じさせます。
名木の紅葉日和を定めて訪ひにけり
高浜虚子【現代語訳】名高いあの紅葉を見るために、晴天の日を選び定めて訪ねて行ったことだ。 【鑑賞】名木紅葉の最も見事な瞬間を逃すまいと、天気予報や空模様を見極めて訪れた作者の高揚感が伝わります。名木に対する敬意と、最高の秋晴れの下で紅葉を堪能する贅沢な時間を率直な言葉で捉えた一句です。
名木の紅葉散りてしまへば常の山
野村喜舟【現代語訳】あの名木の見事な紅葉も散ってしまえば、どこにでもある普段の山に戻ってしまった。 【鑑賞】紅葉の盛りには多くの人々を惹きつけていた名木も、葉を落としてしまえば山の一部として静かに冬を待つばかりです。華やかな絶頂期の記憶があるからこそ、葉を落とした後の索漠とした風景に深い感慨と無常観が漂います。

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