今日の秋
autumn 時候

今日の秋

きょうのあき

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意味・由来

「今日の秋(きょうのあき)」は、立秋(りっしゅう)の当日、つまり暦の上で秋が始まるその日を指す季語です。まだ夏の厳しい暑さが残る時期でありながら、どことなく漂い始める秋の気配を繊細に捉える言葉です。単なる「秋」ではなく、「今日」という具体的な一日を指すことで、昨日までとは異なるかすかな風の涼しさや空の高さに気づいたときの、新鮮な驚きや喜びが込められています。日本人の細やかな季節感が生み出した、情緒豊かな季語です。

この季語で詠むコツ

目に見える大きな変化ではなく、「五感で察知するかすかな変化」を捉えるのが最大のコツです。日差しはまだ強くても、ふと肌をなでる風が涼しく感じられたり、朝夕の影がほんの少し長くなったり、水の音が清澄に響いたりするような「一瞬の気づき」を描写します。単に「秋になった」と説明するのではなく、「昨日と今日の違い」に焦点を当てることで、季語の持つ繊細さが引き立ちます。

相性のいい言葉・取り合わせ

季節の移ろいを表すために、形を変えやすいものや、五感に訴えかける言葉と相性が良いです。例えば、「風」「雲」「水音」「日差し」「夕暮れ」「影」などの言葉と組み合わせると効果的です。また、「澄む」「渡る」「少し」「かすかに」といった、繊細な変化を修飾する言葉を用いることで、今日の秋ならではの清涼感や静けさをより際立たせることができます。

今日の秋」の俳句例 (3件)

水音の少し変りて今日の秋
高浜虚子【現代語訳】耳に届く川の水音が、気のせいか少しだけ澄んだ響きに変わったように感じられる。今日からいよいよ秋なのだなあ。 【鑑賞】立秋の日の朝、川や庭の水音に耳を傾けた作者が、昨日までとは異なるかすかな秋の気配を水音の変化として鋭く、かつ自然体で捉えた名句です。目に見えない季節の変わり目を、聴覚という五感を通して表現しており、「少し変りて」という控えめな表現が「今日の秋」という季語の繊細さと見事に響き合っています。
一山の雲の動きや今日の秋
水原秋桜子【現代語訳】山全体を覆う雲の動きが、どこか軽やかで涼しげに見える。まさに今日から秋が始まったのだと感じられる。 【鑑賞】立秋の日に、山を仰ぎ見て詠まれた句です。昨日までの夏の重苦しい入道雲とは異なり、風に流れる雲の動きに秋の爽やかさと軽快さを感じ取っています。山一つという壮大なスケール感の中で、季節がダイナミックに移り変わる瞬間を捉えた、絵画的で清々しい一句です。
今日よりの秋を思へばあつ苦し
正岡子規【現代語訳】今日から秋になったのだと思うと、この相変わらずの厳しい残暑が、かえって余計に暑苦しく感じられることだ。 【鑑賞】「今日より秋」という暦の上の事実と、目の前の厳しい現実の暑さとのギャップをユーモラスに表現した句です。秋という言葉が持つ「涼しさ」への期待があるからこそ、いま感じている暑さがより際立ってしまうという人間の正直な心理を、素直かつ写実的に捉えています。子規らしい人間味あふれるアプローチです。

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