黒やんま
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くろやんま

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意味・由来

「黒やんま」は、秋の季語であり、体が黒っぽく精悍な姿をしたヤンマ(大型のトンボ)を指します。昆虫学上の特定の種だけでなく、オオヤマトンボやカラスヤンマなど、黒褐色の光沢を持つ大形のトンボ全般を含んで用いられます。秋の澄んだ空気のなか、深山や鬱蒼とした水辺を力強く飛翔する姿は、一般的な赤とんぼや銀やんまの持つ明るさとは異なり、どこか神秘的で厳かな陰影と秋の深まりを感じさせます。

この季語で詠むコツ

黒やんまの最大の特徴は、その「黒さ」と「力強い飛翔スピード」がもたらす陰影と静けさの対比です。鮮やかな紅葉や青空との色彩のコントラストを描くのも良いですし、山陰や木漏れ日、深い水面など、少し仄暗い背景と響き合わせることで、秋の深まりや寂寥感を効果的に演出できます。残像を残して一瞬で飛び去るスピード感や、飛び去った後の静寂に焦点を当てるのも効果的です。

相性のいい言葉・取り合わせ

  • 色彩・光影: 「木漏れ日」「深緑」「影」「水輪」「夕光」など、光と影を際立たせる語
  • 場所・環境: 「古道」「渓流」「巨樹」「沼」「山門」など、自然が深く静かな場所
  • 動態: 「よぎる」「ひるがえる」「断つ」「突き抜く」など、鋭い動きを表す動詞

黒やんま」の俳句例 (3件)

黒やんま飛びたるあとの暗さかな
桂信子【現代語訳】黒やんまが目の前を飛び去っていった、そのあとに残る木陰の暗さであることよ。 【鑑賞】黒やんまの黒い体が通り過ぎた瞬間、その空間の光が一瞬奪われ、後には深い静けさと暗さが残されたかのような感覚を捉えています。視覚的な残像と秋の深まりゆく陰影を巧みに表現した名句です。
黒やんま日向へ出ては影重し
加藤楸邨【現代語訳】黒やんまが日陰から明るい日向へと飛び出すと、落ちるその影は実に濃く重々しい。 【鑑賞】明るい秋の日差しのなかで、黒やんまの放つ独特の存在感と、地面に落ちる黒々とした影の重厚さに着目しています。光が強ければ強いほど際立つ「黒」の力強さと、どこか宿命的な重さを感じさせます。
黒やんま飛ぶや巨樹立つのちに海
能村登四郎【現代語訳】黒やんまが飛んでいる。その先には巨大な樹がそびえ立ち、さらにその奥には広大な海が広がっている。 【鑑賞】小さな黒やんまの飛翔から視線が巨樹へ、そして無限に広がる海へと一気に広がる雄大なスケール感を持った句です。大自然の雄大さと、その中を一直線に飛ぶ黒やんまの毅然とした姿が見事に対比されています。

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