栗名月
autumn 天文

栗名月

くりめいげつ

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意味・由来

「栗名月(くりめいげつ)」とは、旧暦九月十三日の夜の月のことで、「十三夜(じゅうさんや)」の別名です。八月十五日の「芋名月(いもめいげつ)」に対して、この時期に収穫される栗を神棚などに供えて月を祀る習慣があったことから、この名が付きました。十五夜(中秋の名月)が中国伝来の行事であるのに対し、十三夜は日本独自の風習とされています。十五夜と十三夜の両方を愛でるのが良いとされ、どちらか一方しか見ないことを「片見月(かたみづき)」と呼んで忌む習慣もありました。

この季語で詠むコツ

十五夜が「満月」であるのに対し、十三夜は少し欠けています。その「完全ではない美しさ(わびさび)」に焦点を当てるのが一つのコツです。また、季節は晩秋へと向かう時期であり、夜の空気はひんやりと冷たさを増します。ただ美しい月を眺めるだけでなく、実りの秋への感謝、栗を茹でたり剥いたりする日常の温かみ、夜寒の寂しさなど、生活感や季節の深まりと結びつけると、より味わい深い句になります。

相性のいい言葉・取り合わせ

  • 食・生活:栗を剥く、茹で栗、膳、灯火、家族の団欒、夜寒
  • 自然・情景:山陰、庭、障子、すすき、少し欠けた月、庭の虫、冷ややか

栗名月」の俳句例 (3件)

栗名月あるじの顔のなつかしき
与謝蕪村【現代語訳】栗名月の夜に訪ねた庵で、主人の顔がしみじみと懐かしく感じられることだ。【鑑賞】月を愛でる静かな夜、親しい友や師を訪ね、素朴に栗を囲みながら語らう温かい情景が浮かびます。お互いの健康を喜び合うような、しみじみとした人間味が漂う名句です。
栗剥くや盥の底の栗名月
正岡子規【現代語訳】栗を剥いていると、水を入れた盥の底に美しい栗名月が映り込んでいる。【鑑賞】実生活の手仕事と、天空にある高雅な月との対比が鮮やかです。水に映る月を「栗名月」と見立てる子規らしいユーモアと、写実的な視線が光る、どこか可愛らしい一句です。
栗名月山をうしろの静かさよ
飯田蛇笏【現代語訳】栗名月の夜、大きな山を背にしたこの場所は、本当に静まり返っていることだ。【鑑賞】秋が深まった夜の、凛と張り詰めたような静寂を詠んでいます。山という巨大な存在を背後に控えることで、十三夜の月光の清らかさと、自然の大きな静けさがより一層際立っています。

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