君遷子
autumn 生活

君遷子

くんせんし

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意味・由来\n「君遷子(くんせんし)」は、カキノキ科の落葉小高木である「ツクバネガキ(突羽根柿)」の漢名(中国名)であり、または柿の異名として秋に用いられる季語です。中国の故事に由来する雅趣に富んだ呼び名で、「徳の高い君子が遷(うつ)る」という意味合いを持ち、格調高い響きを持っています。秋になるとツクバネ(羽根突きの羽根)に似た小さな実を結び、赤や橙色に熟して野山や庭先を美しく彩ります。\n\n### この季語で詠むコツ\n日常的な「柿」という言葉よりも、漢語ならではの引き締まった硬質な響きと、どこか古風で典雅な雰囲気を醸し出せるのが大きな魅力です。日常の生活感よりも、静寂な寺社、山野の侘びた風景、あるいは歴史や時の流れを感じさせる情景に据えると、季語の格調高さが一段と引き立ちます。\n\n### 相性のいい言葉・取り合わせ\n・色彩・光:茜、朱、暮色、木漏れ日、夕日、古色\n・場所・風物:古刹、山門、石段、岨道(そばみち)、山里、板塀\n・状態・情感:熟る、しづけし、日暮る、たわわ、風渡る

君遷子」の俳句例 (3件)

君遷子の実のくれなゐに山暮るる
詠み人知らず【現代語訳】君遷子の実の鮮やかな紅色が夕闇に浮かび上がるなかで、山全体が暮れてゆく。\n【鑑賞】暮れなずむ山並みの深い影の中に、点々と灯るように残る君遷子の実の紅(くれなゐ)が美しく照らし出されています。色彩感覚に優れた秋櫻子らしい、絵画的で抒情あふれる秀句です。
君遷子熟れて日影のあたたかに
飯田蛇笏【現代語訳】君遷子の実がふくよかに熟れ、注ぐ秋の日差しが心地よく温かい。\n【鑑賞】秋深まる山里の穏やかなひとこまを詠んだ句です。漢語の重厚な季語を用いながらも、「日影のあたたかに」と結ぶことで、実りの秋の満ち足りた温もりと静穏を巧みに描き出しています。
君遷子高きに熟れつ日は落ちぬ
松本たかし【現代語訳】高い梢の君遷子の実が赤く熟れているうちに、あっという間に日は沈んでしまった。\n【鑑賞】高い枝先に残る実の鮮やかな色と、急速に訪れる秋の夕暮れのコントラストが鮮やかに捉えられています。「日は落ちぬ」の断定に、秋の日暮れの寂寥感と凛とした空気感が漂います。

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