枸杞酒
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枸杞酒

くこしゅ

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意味・由来

枸杞酒(くこしゅ)は、秋に赤く熟すクコの実を、焼酎や氷砂糖とともに漬け込んで作る薬用酒です。古来より滋養強壮や疲労回復、不老長寿に効果がある妙薬として親しまれてきました。秋が深まり夜長を迎える頃、琥珀色や鮮やかな赤色に染まった手作りの酒を少しずつ嗜む時間は、静かで豊かなひとときです。そのため、俳句においては秋の落ち着いた生活感や、健康を気遣う優しい情景を象徴する季語として愛されています。

この季語で詠むコツ

単なるお酒としての華やかさではなく、「体に良い薬用酒」としての優しさや、どこか古風で落ち着いた味わい、あるいは「手作り」の温かみを表現するのがコツです。また、ガラス瓶に透ける赤や琥珀色の色彩美に焦点を当てたり、秋の長い夜を静かに過ごす「老境」や「いたわり」の心境に重ね合わせたりすると、より深い情感が生まれます。

相性のいい言葉・取り合わせ

  • 時間・光:「夜長」「灯火」「秋の更ける」「琥珀」
  • 人の体・情愛:「いたわり」「老い」「病後」「手酌」「一盞(いっさん:一杯の酒)」
  • 色彩や器:「青畳」「白磁」「グラス」「濁り」

枸杞酒」の俳句例 (3件)

枸杞酒や一盞づつを病後の妻
飯田蛇笏【現代語訳】滋養のある枸杞酒を、病み上がりの妻に一杯ずつ大切に注いであげることだ。【鑑賞】身体に優しい薬用酒である枸杞酒を、いたわるように妻へ勧める作者の深い愛情が伝わる名句です。秋の静かな時間の中で交わされる、夫婦のあたたかな心の通い合いが丁寧に描かれています。
枸杞酒の赤きをこぼし畳青し
桂信子【現代語訳】漬けた枸杞酒の鮮やかな赤い液を少しこぼしてしまい、それが青畳の上にぽつりと映っている。【鑑賞】枸杞酒の深い赤色と、新しく爽やかな青畳のコントラストが視覚的に非常に美しい一句です。日常のちょっとした失敗を、鮮やかな色彩の対比として見事に芸術へと昇華させています。
枸杞酒に母の齢をまさりけり
及川貞【現代語訳】体に良いとされる枸杞酒を飲みながら、気がつけば亡き母の享年を自分の年齢が超えてしまっていることに思いを馳せている。【鑑賞】長寿や健康を願う枸杞酒を前にして、かつての母の年齢に達し、さらにそれを超えて生きている我が身の感慨を詠んでいます。しみじみとした老いの自覚と、亡き母への追慕が重なる深い味わいのある作品です。

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