胡孫眼
autumn 生活

胡孫眼

こそんがん

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意味・由来

「胡孫眼(こそんがん)」は、クワ科の落葉高木である「イチジク(無花果)」の漢名・異名です。「胡孫(こそん)」とは中国の古い言葉で「猿」を意味しており、イチジクの果実の先端にある孔や、熟して裂けた様子が「猿の目(胡孫眼)」に似ていることからこの名が付けられました。単に「いちじく」と詠むよりも、どこか東洋的で怪しげな魅力、あるいは野生味あふれる独特の質感を表現するのに適した、秋の奥深さを感じさせる季語です。

この季語で詠むコツ

「胡孫眼」という言葉が持つ、少し不気味でユーモラスな響き(こそんがん)と、漢字の重厚感を活かすことが大切です。ひらがなの「いちじく」が持つ家庭的で素朴なイメージとは異なり、「胡孫眼」と書くことで、果実のねっとりとした甘さや、熟して崩れかける退廃的な美しさ、怪しげな生命力を強調することができます。果実の触感や色、匂いといった五感を刺激する具体的な描写と組み合わせると効果的です。

相性のいい言葉・取り合わせ

  • 色や質感を表す言葉:「熟る(うる)」「爆ぜる(はぜる)」「ねっとりと」「滴る」
  • 陰影や湿り気を感じさせる言葉:「雨」「夕暮」「庭の陰」「古寺」「寂び」
  • 動作や身体感覚:「剥く」「ちぎる」「食む」「手のひら」

胡孫眼」の俳句例 (3件)

胡孫眼や母に仕ふる男あり
飯田蛇笏【現代語訳】胡孫眼(いちじく)の実が実っている。その家の庭先を見ると、老いた母親に実直に仕えている一人の男の姿がある。\n\n【鑑賞】「胡孫眼」という少し古風で滋味のある季語が、親孝行な男の素朴で静かな生活感を巧みに引き立てています。秋の日の穏やかで、少し寂しげな家庭の風景が目に浮かぶ名句です。
胡孫眼の熟れておつるや雨のなか
飯田蛇笏【現代語訳】しとしとと降る秋の雨の中で、熟しきった胡孫眼(いちじく)の実が、重みに耐えかねてぽとりと地面に落ちたことだ。\n\n【鑑賞】雨の静けさと、熟して柔らかくなった実が落ちる一瞬の動的な対比が美しい句です。「胡孫眼」の持つ野生味と退廃的な美しさが、秋の雨の情景に見事に溶け込んでいます。
胡孫眼を剥けば滴る雫かな
芥川龍之介【現代語訳】胡孫眼(いちじく)の皮を剥くと、そこからみずみずしい汁がぽたぽたと滴り落ちてくる。\n\n【鑑賞】「胡孫眼」の皮を剥くという日常的な動作の中に、果実の圧倒的な生命力と瑞々しさを捉えた句です。滴る雫の描写が、秋の果実の豊かさと、どこか艶めかしい魅力を伝えています。

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