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既生魄(きせいはく)とは、十五夜(満月)を過ぎてわずかに欠け始め、影が生じ始めた月(主に十六夜の月)を指す秋の季語です。「魄(はく)」とは月の影や暗い部分、または月そのものを意味する言葉で、古代中国の暦法や月齢の呼び名に由来しています。満月の完璧な円からほんの少しだけ陰りが生じ、月が出始める時間も遅くなるため、満月とは一味違うしみじみとした静かな情緒や、秋の夜長におけるあわれさを醸し出す言葉として俳諧で親しまれてきました。
「既生魄」は漢語調の重厚で洗練された響きを持っています。和語である「十六夜(いざよい)」に比べてどこか神秘的で硬質な印象を与えるため、静寂な夜の空気感や、冷ややかに澄み渡る秋の気配を強調したい場面に最適です。満月よりも月出が遅いことから、月を待つ静かな時間(夜長や酒を酌む時間)の心の動きや、月光がもたらす陰影の美しさに着目して詠むと、深みのある作品になります。
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