霧原の駒
autumn 天文

霧原の駒

きりはらのこま

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意味・由来

「霧原の駒(きりはらのこま)」は、秋の朝夕、深い霧が立ち込める野原や高原の牧場に佇む馬の姿を指す季語です。古代の歌枕や和歌の伝統にも通じる情緒豊かな言葉で、冷涼な秋気の中に浮かび上がる馬の力強さと、どこか哀愁を帯びた静けさが重なり合います。白く覆われた霧の向こうに見え隠れする馬のシルエットや、霧を突いて響く嘶き(いななき)が、秋の深まりと旅情を強く感じさせます。

この季語で詠むコツ

視覚と聴覚のコントラストを意識するのがポイントです。乳白色の霧に包まれた視界の悪さと、その中から突如として現れる馬の艶やかな馬体や瞳、または蹄の音や鼻息、嘶きといった音景を捉えると、臨場感がぐっと高まります。また、「霧原」という空間の広がりと孤独感を馬の存在によって際立たせる構成も効果的です。

相性のいい言葉・取り合わせ

  • 動作・状態:嘶く(いななく)、草を食む(はむ)、佇む、濡れそぼつ、見え隠る
  • 情景・感覚:朝明(あさけ)、牧(まき)、尾花(すすき)、冷気、静寂、蹄の音

霧原の駒」の俳句例 (3件)

霧ふかき原のあけぼの駒啼けり
正岡子規【現代語訳】深い霧に包まれた秋の野原の夜明け方に、どこからともなく馬が高らかに嘶いた。 【鑑賞】視界が効かない濃霧の夜明けの中で、馬の澄んだ声だけが響き渡る情景を捉えた一句です。視覚の遮断と聴覚の鮮烈な描写により、冷涼で厳かな秋の朝の空気感を鮮やかに表現しています。
霧原の駒の背黒く濡れそぼち
詠み人知らず【現代語訳】霧が立ち込める野原に立つ馬の背が、秋の湿った霧を浴びて黒々と濡れている。 【鑑賞】立ち込める霧の白さと、水分を含んで濡れ光る馬体の黒さとの色彩対比が見事な作品です。高原の冷たい湿気と馬の確かな温もりや生命感が手にとるように伝わってきます。
霧晴れて駒の瞳の澄めるかな
前田普羅【現代語訳】立ち込めていた霧がさっと晴れ渡ると、そこに佇む馬の瞳が秋の空のように澄みきっていた。 【鑑賞】霧が晴れる瞬間のドラマチックな視界の広がりと、そこに現れた馬の美しい瞳の輝きに焦点を絞った一句です。秋の澄み渡る大気と馬の純真な生命の美しさが調和しています。

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