螽蟖
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螽蟖

きりぎりす

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意味・由来

「螽蟖(きりぎりす)」は秋の季語で、チョン・ギースと鋭く鳴く虫を指します。しかし、古典文学(『万葉集』や『古今和歌集』など)において「きりぎりす」と呼ばれていたのは、実は現在の「コオロギ」のことでした。現在のキリギリスは当時は「はたおり(機織)」などと呼ばれていました。明治以降、生物学的な分類が整理される中で現在の呼び名が定着しましたが、俳句においてはその鋭い鳴き声や、秋の訪れを告げる寂しげな響きが大切にされてきました。

この季語で詠むコツ

キリギリスの鳴き声は、昼間にもよく聞こえ、日差しの強さと秋の涼しさが同居する時間帯に際立ちます。コオロギのような夜のしめやかな鳴き声とは異なり、どこか乾いた、ユーモラスでありながらも哀愁を帯びた響きがあります。その「音」そのものに焦点を当てるだけでなく、鳴き止んだ瞬間の静寂や、草むらの青さ、日差しの陰りなど、視覚や触覚の情報を重ね合わせることで、より立体的な情景を描き出すことができます。

相性のいい言葉・取り合わせ

  • 日差しや風の動きを表す言葉(例:「秋日」「斜陽」「そよ風」)
  • 乾いた質感や色彩(例:「乾草」「青葉」「砂」)
  • 聴覚の対比(例:「静けさ」「遠くの音」「足音」)

螽蟖」の俳句例 (3件)

きりぎりす片手でくらす庵かな
小林一茶【現代語訳】きりぎりすよ、お前も私と同じように、このわびしい庵で不自由な暮らしをしているのだな。【鑑賞】一茶自身が中風により体が不自由であった時期の句とされます。自分自身と、小さな虫であるきりぎりすの姿を重ね合わせ、愛おしさとユーモア、そして哀愁を込めて詠んでいます。
むざんやな兜の下のきりぎりす
松尾芭蕉【現代語訳】ああ、痛ましいことよ。かつての戦死者の兜の暗がりのなかで、きりぎりすが寂しげに鳴いている。【鑑賞】『奥の細道』の多太神社での句。斎藤実盛の遺品の兜を見て、かつての合戦の悲劇に思いを馳せ、兜の中に響く虫の声を無常観とともに捉えています。なお、ここでの「きりぎりす」はコオロギを指しています。
きりぎりす鳴くや障子のやぶれ口
加賀千代女【現代語訳】障子の破れた隙間から、きりぎりすの鳴き声が聞こえてくることよ。【鑑賞】生活感のある日常の一コマ。破れた障子の隙間から聞こえる虫の声が、秋の寂しさと涼しさをいっそう引き立てています。

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