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「螽蟖(きりぎりす)」は秋の季語で、チョン・ギースと鋭く鳴く虫を指します。しかし、古典文学(『万葉集』や『古今和歌集』など)において「きりぎりす」と呼ばれていたのは、実は現在の「コオロギ」のことでした。現在のキリギリスは当時は「はたおり(機織)」などと呼ばれていました。明治以降、生物学的な分類が整理される中で現在の呼び名が定着しましたが、俳句においてはその鋭い鳴き声や、秋の訪れを告げる寂しげな響きが大切にされてきました。
キリギリスの鳴き声は、昼間にもよく聞こえ、日差しの強さと秋の涼しさが同居する時間帯に際立ちます。コオロギのような夜のしめやかな鳴き声とは異なり、どこか乾いた、ユーモラスでありながらも哀愁を帯びた響きがあります。その「音」そのものに焦点を当てるだけでなく、鳴き止んだ瞬間の静寂や、草むらの青さ、日差しの陰りなど、視覚や触覚の情報を重ね合わせることで、より立体的な情景を描き出すことができます。
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