金風
autumn 天文

金風

きんぷう

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意味・由来

「金風(きんぷう)」とは、秋に吹くさわやかで涼しい風のことです。古代中国の自然哲学である「五行説」では、万物を「木・火・土・金・水」の5つの要素に分類し、季節の「秋」を「金(ごん・きん)」に配しました。このことから、秋の風を「金風」、秋の雨を「金雨」などと美しく表現するようになりました。また、秋の野山を黄金色に実らせる風という意味合いも重なり、豊穣と清澄さを象徴する季語となっています。

この季語で詠むコツ

漢語独特の引き締まった響きを持つ「金風」は、非常に格調高い季語です。和語の「秋風」がどこか寂しげで哀愁を帯びているのに対し、「金風」は凛とした強さや、知的な透明感を醸し出します。作句の際は、ただ涼しさを写生するだけでなく、空間の広がりや、光のきらめき、精神的な静寂などを意識して詠み込むと、この季語の持つ気品を最大限に引き出すことができます。

相性のいい言葉・取り合わせ

格調高い季語であるため、俗世から少し離れた自然の営みや、歴史を感じさせる言葉とよく合います。例えば、「古寺」「白雲」「水音」「松籟(松風)」など、静かで澄んだ情景を描く言葉と相性が良いでしょう。また、あえて「芋」や「石」などの日常的で素朴な言葉と取り合わせることで、その素朴さを上品に美化させる効果も狙えます。

金風」の俳句例 (3件)

金風や洗ひ上げたる芋の肌
服部嵐雪【現代語訳】秋の清らかな風が吹き抜ける中、きれいに水洗いされた里芋が、白く艶やかな肌をのぞかせている。 【鑑賞】五行説に基づく格調高い「金風」という言葉と、きわめて日常的で泥臭い「芋」という素材の組み合わせが絶妙です。洗いたての芋の瑞々しい白さが、秋の澄み切った大気と風の冷涼感を鮮やかに引き立てています。
金風に吹かれ放ちの小舟かな
芥川龍之介【現代語訳】秋のさわやかな風に吹かれながら、どこにも繋ぎ留められることなく、ただ水面に漂っている一艘の小舟よ。 【鑑賞】文豪・芥川龍之介(俳号・我鬼)の作品です。秋風の中にぽつんと浮かぶ小舟の姿に、自らの孤独や、何者にも縛られたくないという自由への憧れを投影しています。乾いた秋の風が心地よくもどこか寂しく感じられる名句です。
金風や一鳥落ちて雲高し
詠み人知らず【現代語訳】心地よい秋の風が吹き渡る中、一羽の鳥がすーっと下降していき、見上げれば秋の雲がはるか高く浮かんでいる。 【鑑賞】鳥の鋭い下降運動と、それによって逆に際立つ天の高さ(雲の高さ)がダイナミックに対比されています。「金風」の持つ凛とした空気感が、広い青空と澄んだ大気のイメージをより鮮明なものにしています。

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