佳宵
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佳宵

かしょう

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意味・由来

「佳宵(かしょう)」は、秋の心地よく、そして美しい夜を指す季語です。「佳」という文字には「美しい」「優れている」「めでたい」という意味があり、秋の涼しく澄んだ空気の中で過ごす、しみじみと味わい深い夜を表しています。単に明るい月が出ている夜だけでなく、静かに虫が鳴き、心が落ち着くような秋の夜長全般に対して、その素晴らしさを讃えて使われる言葉です。

この季語で詠むコツ

「佳宵」という言葉自体が非常に格調高く、すでに「素晴らしい夜である」という主観的な感動を含んでいます。そのため、句の中で「素晴らしい」と直接説明するのではなく、その夜の美しさや心地よさを具体的に示す事象を取り合わせるのがコツです。例えば、部屋に差し込む月光、静かに聞こえる雨の音、親しい人との穏やかな会話など、具体的な五感の情報を重ねることで、言葉の持つ美しさが引き立ちます。

相性のいい言葉・取り合わせ

  • 室内や住まいに関する言葉(障子、灯、客、庵、畳)
  • 静かな音や自然(虫の音、微雨、風、月)
  • 人の静かな営み(語らう、お茶、読書、猫)

佳宵」の俳句例 (3件)

佳宵なる雨のあかるき一処
水原秋桜子【現代語訳】素晴らしい秋の夜(佳宵)であるが、静かに雨が降っている。その雨のなかに、一箇所だけ明かりが灯って、明るく見えている場所がある。 【鑑賞】秋の夜のしっとりとした情緒と、静かな雨の中にぽつんと浮かび上がる温かな光のコントラストが実に見事です。「佳宵」という響きが持つ、どこか気品のある静けさを、雨の風景を通して詩的に描き出しています。
佳宵とはただ一枚の障子かな
長谷川双魚【現代語訳】秋の素晴らしい夜というものは、庭との間をただ一枚の障子だけで隔てて味わう、この静かで贅沢な空間のことなのだろう。 【鑑賞】「佳宵」の情緒を、障子という極めてシンプルで伝統的な和の設えだけで表現した名句です。障子の向こうに広がる秋の夜の気配や、障子を通した柔らかな光が、贅沢な時間を演出しています。
佳宵なり主客に猫も交りて
高浜虚子【現代語訳】なんと素晴らしい秋の夜だろう。もてなす主人と招かれた客、そしてそこに猫までもが自然と交じり合って、和やかな時間が流れている。 【鑑賞】秋の夜の心地よい団欒の様子を写実的に描いた一句です。「主客」というやや硬い関係性の中に、気ままな「猫」が加わることで、場の空気が一気に和らいでいます。これこそがまさに「佳宵」と呼ぶにふさわしい、温かく満ち足りた時間であることを伝えてくれます。

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