鴉の子別れ
autumn 生活

鴉の子別れ

からすのこわかれ

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意味・由来

「鴉の子別れ(からすのこわかれ)」は秋の季語です。春に孵化して親鳥から手厚く育てられた子ガラスは、秋になると自立の時期を迎えます。親鳥は心を鬼にして子を突き放し、自分の縄張りから追い出します。この野生の厳しい自立の営みを「子別れ」と呼び、俳諧においては古くから親子の情愛や別れの切なさ、そして孤独感を象徴する情緒豊かな季語として愛されてきました。昨日まで仲睦まじかった親子が、ある日を境に他人のように激しく争い、別れていく姿には、人間の人生にも通じる深い哀愁が漂います。

この季語で詠むコツ

カラスという身近な鳥を題材にするからこそ、単なる事実の描写にとどまらず、その背景にある「切なさ」や「野生の厳しさ」を引き出すことが大切です。親子の物理的な距離感や、カラスの鳴き声の響き方の変化に注目すると、より情感のこもった句になります。また、感傷に流されすぎず、自然の摂理としての力強さを意識して詠むと、句に格調高さが加わります。

相性のいい言葉・取り合わせ

別れの場面の寂しさを際立たせるために、「夕日」「夕暮れ」「秋風」「薄野(すすきの)」といった秋の暮れ方を象徴する時間や風景の言葉と非常によく調和します。また、「突き放す」「鳴き交わす」「飛び去る」といった、親子の動的な関係性を示す動作を盛り込むのも効果的です。

鴉の子別れ」の俳句例 (3件)

子別れや烏啼行夕日の岡
与謝蕪村【現代語訳】あそこでも烏の子別れが行われているのだろう。夕日に照らされた岡を、烏が鳴きながら飛び去っていく。【鑑賞】蕪村らしい絵画的で色彩豊かな一瞬を切り取った句です。赤く染まる夕日の岡を背景に、カラスの黒いシルエットが鳴きながら離れていく様子が、映画のワンシーンのように鮮やかに目に浮かびます。
子別れや烏も啼て夕日影
炭太祇【現代語訳】カラスの子別れの季節なのだろうか。親子のカラスが互いに鳴き交わしながら、寂しい夕日の光の中に消えていく。【鑑賞】太祇が旅先か日常の夕暮れに目にした光景です。沈みゆく夕日の心細い光の中で、カラスが鳴きながら別れていく様子に、人間社会の親子の別れや旅愁を重ね合わせており、哀愁に満ちた余韻が残る名句です。
子別れの烏に暮るる山路かな
服部嵐雪【現代語訳】烏の子別れの鳴き声を聞きながら山道を歩いているうちに、すっかり日が暮れてしまったことだ。【鑑賞】秋の山道という孤独なシチュエーションにおいて、山中に響き渡るカラスの哀切な声が、いっそう周囲の寂しさを引き立てています。カラスの親子との対比で、作者自身の旅の孤独感と自然の冷厳さが際立っています。

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