癇癪花火
autumn 生活

癇癪花火

かんしゃくはなび

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意味・由来

「癇癪花火(かんしゃくはなび)」は、別名「癇癪玉(かんしゃくだま)」とも呼ばれる、小さな球状のおもちゃの花火です。壁や地面に強く投げつけたり、足で踏みつけたりすると、衝撃によって「パチパチ」と鋭い破裂音を立てて弾けます。その様子が、まるで人が怒り(癇癪)を爆発させているように見えることから名付けられました。俳句においては秋の季語として分類されており、夏の華やかな打ち上げ花火とは異なる、庶民的でどこか寂しげな哀愁を漂わせるおもちゃとして親しまれてきました。

この季語で詠むコツ

癇癪花火を詠む際には、単に「音がして面白かった」という描写にとどまらず、その「一瞬の鋭い音」と「その後に訪れる静けさ」の対比を意識することがポイントです。また、心の中にあるもどかしさや寂しさを、癇癪花火をぶつける動作に託すことで、詩情豊かな内面世界を表現することができます。

相性のいい言葉・取り合わせ

  • 動詞:「踏む」「投げる」「はじける」「つぶす」
  • 情景:「静けさ」「暗闇」「路地裏」「夕暮れ」
  • 心情:「寂しさ」「孤独」「もどかしさ」「いたずら心」

癇癪花火」の俳句例 (3件)

癇癪玉はじけてのちの静けさよ
桂信子【現代語訳】癇癪玉がパチパチと音を立てて弾け飛び、それが終わった後の、なんとも言えないしんとした静けさよ。【鑑賞】癇癪玉の出す突発的で賑やかな音が消え去ったことで、それまで意識していなかった周囲の日常の静けさが、より一層際立って感じられます。一瞬の騒ぎの後に訪れる、孤独や虚無感をも内包した見事な一句です。
癇癪玉投げつけて見ん秋の風
正岡子規【現代語訳】この寂しく吹き抜ける秋の風に向かって、癇癪玉を思い切り投げつけて、派手に破裂させてみたいものだ。【鑑賞】病床にあった子規が、秋の風がもたらす寂寥感や、思うように動かない身体へのもどかしさを、癇癪玉という小さなおもちゃに託して詠んだ句です。「秋の風」という静かで寂しい背景に対し、癇癪玉のはじける一瞬の激しさが鮮烈な対比を見せています。
癇癪玉ふめばひらたくなりて爆づ
安住敦【現代語訳】癇癪玉を靴で踏みつけると、ぐにゃりと平たくなったかと思う瞬間、パチッと音を立てて弾け散る。【鑑賞】癇癪玉を踏み潰す時の、微細な感触と破裂の瞬間を極めて写実的に捉えた句です。「ふめばひらたくなりて」という中間プロセスの描写があることで、最後の「爆(は)づ」という破裂のエネルギーがより生々しく読者に伝わります。

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