鎌あげ
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かまあげ

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意味・由来

「鎌あげ(鎌上げ)」とは、秋の稲刈りなどの農作業が無事に終わったことを祝い、使った鎌をきれいに洗って神棚や仏壇に供え、感謝を捧げる行事のことです。また、過酷な収穫作業を終えた労働をねぎらうために、親戚や近所の人々が集まってごちそうや酒を振る舞う「農休み(野上がり)」の宴そのものを指すこともあります。実りの秋への感謝と、厳しい労働からの解放感が混ざり合った、温かみのある民俗的な季語です。

この季語で詠むコツ

この季語を詠む際には、単に作業が終わったという事実だけでなく、張り詰めていた緊張が解けたときの安堵感や、体中を包む心地よい疲労感を表現するのがコツです。また、きれいに研ぎ澄まされ、役目を終えて静かに置かれた「鎌」そのものの質感や輝きに焦点を当てることで、収穫のシンボルとしての存在感を際立たせることができます。

相性のいい言葉・取り合わせ

農作業の終了を象徴する行事なので、食べ物や飲み物(「酒」「握り飯」「餅」など)、家族や仲間との団欒(「妻」「親子」「夕餉」など)、そして秋の終わりの自然(「夕日」「夜の雨」「灯火」など)と相性が良いです。静寂と安堵感を醸し出す言葉と組み合わせると、句に深い余韻が生まれます。

鎌あげ」の俳句例 (3件)

鎌あげや一日遊びて夜の雨
尾崎紅葉【現代語訳】鎌上げの休日を迎え、今日一日は農作業も忘れて思い切り遊んだ。夜になると、静かに雨が降り始めてきたことだ。【鑑賞】「鎌上げ」は労働からの解放を意味する休日でもあります。一日中解放感を満喫したあと、夜になって降り出した雨は、次の休息へと誘う心地よい子守唄のようです。静かな夜の雨音が、楽しかった一日の余韻をより深く引き立てています。
鎌あげや仏に供ふ握飯
正岡子規【現代語訳】稲刈りもすべて終わり、鎌を納める行事の日。収穫への感謝を込めて、新米で握ったおにぎりを仏壇にお供えすることだ。【鑑賞】子規が詠んだこの句は、収穫の喜びと素朴な信仰心がストレートに表現されています。新米で作られた艶やかな握り飯が、仏壇の厳かな空気の中で輝いている様子が目に浮かびます。農村の飾らない生活感が魅力的な一枚の絵のような作品です。
鎌あげの酒うつくしき夕日かな
飯田蛇笏【現代語訳】無事に刈り入れを終えた鎌上げの祝いの席。酌み交わされる酒が、差し込む美しい夕日に照らされてきらきらと輝いている。【鑑賞】蛇笏らしい、色彩豊かで格調高い一句です。一日の、そして一年の労働を終えた安堵感の中で、西日に照らされる酒器や酒が黄金色に輝く様子は、大いなる自然の恵みと人間の営みが調和した至福の瞬間を捉えています。

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