柿干す
autumn 生活

柿干す

かきほす

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意味・由来

「柿干す(かきほす)」は、秋に収穫した渋柿の皮を剥き、軒先や庭先などの風通しの良い場所に吊るして、干し柿を作る様子を指す季語です。日本の伝統的な冬じたくの営みであり、実りの秋から晩秋、そして初冬へと移り変わる季節の温かみのある生活風景を象徴しています。寒風にさらされながら、次第に糖分が凝縮されて甘くなっていく柿の姿には、自然の知恵と暮らしの静かな時間が流れています。

この季語で詠むコツ

「柿干す」は視覚的な色彩が非常に豊かな季語です。干された柿の鮮やかなオレンジ色と、突き抜けるような秋の青空、あるいは沈みゆく夕日の光といったコントラストを意識すると、一枚の絵画のような鮮明な映像が浮かび上がります。また、ただの風景画にとどめず、風や光といった自然環境の変化や、それを見守る家族の歴史や温もり、どこか懐かしい郷愁などの感情を重ね合わせることで、より深い余韻を生み出すことができます。

相性のいい言葉・取り合わせ

  • 場所を表す言葉: 軒(のき)、ひさし、縁側、山里、日向(ひなた)、窓
  • 自然・光を表す言葉: 秋風、青空、夕日、暮色、木漏れ日、から風
  • 生活感のある言葉: 縄、母の手、箒(ほうき)、静けさ、家族

柿干す」の俳句例 (3件)

柿干すやその下に置く赤のまま
正岡子規【現代語訳】軒先に柿が干してある。そのすぐ下の地面には、赤のまま(イヌタデ)の赤い花が、まるでそこに置かれたかのように愛らしく咲いている。【鑑賞】吊るされた柿の鮮やかな橙色と、足元の野に咲く小さな「赤のまま」の赤。縦の空間のつながりと、同系色の色彩の取り合わせが、秋ののどかな庭先を美しく描き出しています。
柿干すや日向の坂のゆきどまり
芝不器男【現代語訳】日当たりの良い坂道をのぼりつめると、その行き止まりの民家に柿が干してあった。【鑑賞】日向の坂を登りきったところに、不意に現れる鮮やかな干し柿の風景。生活の営みが、静かな光に満ちた一種の極楽浄土のような、あるいは桃源郷のような空間として、象徴的に捉えられています。
柿干すや日本の村の美しき
渡辺水巴【現代語訳】民家の軒先に柿が干してある。その光景を見ていると、日本の農村の風景はなんと美しいのだろうとつくづく思う。【鑑賞】技巧を排し、素直に心に浮かんだ感動を詠み上げた名句です。干し柿というごくありふれた日常の営みが、日本人が培ってきた風土と伝統の美そのものであることを高らかに肯定しています。

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