梶の鞠
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梶の鞠

かじのまり

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意味・由来

「梶の鞠(かじのまり)」は、初秋(旧暦七月七日の七夕)に行われる蹴鞠(けまり)の行事を指す季語です。宮中や貴族の間では、七夕の日に特別な蹴鞠の会が催されました。通常、蹴鞠の庭の四隅には桜・柳・楓・松の四本の木(式木)を立てますが、七夕の日に限っては、七夕に縁の深い「梶(かじ)の木」を立てて鞠を蹴ったことから、この行事を「梶の鞠」や「七夕の鞠」と呼びました。梶の葉七夕の短冊代わりに願い事を書く葉としても知られ、神聖で優雅な王朝文化の香り高い季語です。

この季語で詠むコツ

「梶の鞠」は王朝風の雅びな雰囲気を湛えた季語であるため、古典的な世界観や静寂、格式高さを意識して詠むと引き立ちます。蹴鞠の動的な動き(鞠が空に舞う様子や、落ちる瞬間)と、秋の訪れを告げる静かな自然現象(朝曇りや露、風など)を対比させることで、一瞬の美しさを際立たせることができます。現代で詠む際には、単なる歴史の再現ではなく、その伝統が持つ時間の重みや、七夕の祈りの心に焦点を当てると良いでしょう。

相性のいい言葉・取り合わせ

  • 空や光を表す言葉:「朝曇(あさぐもり)」「青空」「雲」「秋の陽」
  • 庭や自然の様子:「芝生」「露」「風の音」「梢(こずえ)」
  • 王朝の雅を醸し出す言葉:「袖」「烏帽子(えぼし)」「影」「祈り」

梶の鞠」の俳句例 (3件)

梶の鞠あてにいそぐや朝曇
与謝蕪村【現代語訳】七夕の蹴鞠である「梶の鞠」の会に間に合わせようと、朝曇りの空の下、人々が急いで準備をしている。 【鑑賞】七夕の朝の独特な曇り空の中、優雅な蹴鞠の会が始まる前の高揚感と慌ただしさを鮮やかに切り取った一句。朝の少しひんやりとした空気感が伝わります。
梶の鞠雲にそむきて落ちにけり
高井几董【現代語訳】高く蹴り上げられた梶の鞠が、秋の雲に背を向けるようにして、静かに落ちてきた。 【鑑賞】空高く舞い上がった鞠が、秋の雲を背景に一瞬静止し、重力に従って落ちていく様子を描いています。王朝絵巻の一コマのような、洗練された静動の対比が見事です。
露けさや梶の鞠おつ芝のうえ
正岡子規【現代語訳】秋の露が深く降りる中に、七夕の蹴鞠が芝生の上に静かに落ちる。その何とも言えない、しっとりとした風情よ。 【鑑賞】「露けさ」という秋の朝の澄んだ空気感と、湿り気のある芝生に落ちる鞠の存在感が美しく調和しています。五感に訴えかける繊細な写生句です。

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